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ロシア下院、「対日戦勝記念日」法案可決へ 制裁強化への反発か

 ロシア下院は25日、9月3日の「第2次世界大戦終結の日」を「軍国主義日本に対する勝利と第2次世界大戦終結の日」に改称する法案を、審議の第1段階となる第1読会で可決した。昨年6月に法案を提出した際は実質審議が行われなかったが、「日本の非友好的な政策への対抗措置」としている。対ロ制裁強化を打ち出した広島での先進7カ国首脳会議(G7サミット)への反発とみられ、成立する可能性が高い。(北海道新聞2023/5/27)

 法案は昨年6月、プーチン政権与党「統一ロシア」や野党「共産党」の議員ら8人が提出。だが、追加協議が必要などとして審議が先送りされ、10月にはロシア政府が「第2次大戦終結させたソ連国民の貢献が薄れないよう、個別の敵国への勝利を強調しない」との反対意見も出していた。

 しかし、下院の公式サイトによると、法案は今月17日に再提出された。今後、第2、第3読会を通過し、上院で承認後、プーチン大統領の署名を経て発効する。プーチン氏は9日の対ドイツ戦勝記念日の演説で第2次世界大戦時の「日本の軍国主義」に言及するなど対日けん制を強めている。

 ロシアは2010年、日本が連合国との降伏文書に調印した9月2日を「第2次世界大戦終結の日」に制定。20年には旧ソ連時代に「対日戦勝記念日」だった9月3日に日付が変更され、日本に勝利した記念日との位置付けが強められた。

 北方領土を事実上管轄するサハリン州では、記念日に合わせて「日本の軍国主義から島々を解放した」として北方四島などでイベントが行われている。法案が成立すれば、対日感情がさらに悪化しそうだ。9月3日は中国の「抗日戦勝記念日」に当たり、中ロ両国による反日キャンペーンに利用される恐れもある。(渡辺玲男)

「彼らが我々の勝利の価値を貶めようとするとき、歴史は記憶されなければならない」サハリン知事

(astv.ru 2023/5/26)

サハリン州のリマレンコ知事は、9月3日を軍国主義日本に対する勝利と第二次世界大戦終結の日とすることを定めた法案がロシア下院の第一読会で採択されたことについてコメントした。知事は「軍国主義日本に対する戦勝記念日第二次世界大戦終結を定める法案の提出と第一読会での採択は、我々共通の勝利である。これは我々の公的組織と退役軍人組織からの要請であり、我々の代表者によって達成された。私は個人的にこの取り組みを全面的に支持する。彼ら(西側)が我々の勝利の価値を貶めようとするとき、歴史は記憶されなければならない」と自身のテレグラムに投稿した。