国後島のロシア内務省当局は、51歳の地元の男を窃盗の疑いで逮捕した。20日、70歳の地元住民から、自分が所有するコンテナから灯油ストーブや合板、タイヤのホイールなど3万2,000ルーブル相当が盗まれたと届けがあった。警察が捜査したところ、盗難に関与した51歳の男の犯行と判明した。盗品は持ち主に変換された。(サハリン・インフォ2022/9/21)
択捉島クリリスク(紗那)郊外のヤンキト高原で発掘調査を行っているサハリン考古学調査団は、1万3,000年前に古代人が住んでいた半地下式の竪穴住居跡10カ所を発見した。そのうち最大の2つは、六角形で高度な暖房システムを備えていたと発表した。調査団の団長でサハリン国立大学のヴャチェスラフ・グリシチェンコ准教授(博物館長)によると、六角形の住居の形は主として気候条件に対応したものだという。倒立した船のような流線型の形状は、卓越風に向かって配置されていた。その結果、突風は壁ではなく、住居の隅に分散され荷重が減少した。「古代の人々は地下約50㎝の深さまで穴を掘り、残土は住居の覆いとして活用した。古代人は建築について多くのことを知っていた。住居の半分を土で覆い、上部は木製の構造物、季節に応じて笹や動物の皮で覆った」という。この種の住居は1万3,000年前に使用された。新石器時代の標準的な円形の住居は、島々の気候条件に適合しなかったため、独特の形状を発明した。グリシチェンコ団長は実際に六角形のテントを作って試したところ、風でテントが飛ばされることはなく、かなり暖かかったという。六角形の住居跡からは「カン」と呼ばれる暖房システムが発見された。暖房は囲炉裏ではなく、壁際に特別なストーブがあり、そこから延びたパイプは寝床の下を通って、外に煙を排出していた。こうした暖房はアムールやサハリン北部に住んでいた古代人にとって一般的なものだったが、択捉島では初めて発見された。今回の発掘面積は3,500㎡あったが、作業はほぼ終了した。(サハリン・メディア2022/9/21)
ロシア政府は6日、北方領土をめぐる日本との「ビザなし交流」などを定めた協定を終了すると発表しました。北方領土からの引揚者が北海道に次いで全国で2番目に多い富山ですが、県内の元島民に今の思いを取材しました。(チューリップテレビ2022/9/8)
「ロシアなんかは、獲ったら自分のもので一歩も譲らないという気持ちなんですよね。これは国と国との争いだから私個人が何を言っても仕方のないことですけどね」
こう語るのは、8歳まで歯舞群島のひとつ、水晶島に住んでいた吉田義久さん(85)です。
吉田義久さん:
「やはり私たちのふるさとなんだから一生忘れられないし、忘れることはできないし、本当に草一本一本が私たちの思い出になっていますので簡単にはあきらめられない。私たちからすれば昔からのふるさとですから、一日でも早く円満に解決してほしいと思います」
元島民らがパスポートやビザなしで北方領土に行き、故郷を訪れることができる「ビザなし交流」や「自由訪問」。
ロシア政府は6日、これらに関する日本とロシアの間の合意を一方的に破棄し、協定を終了すると発表しました。ウクライナ侵攻をめぐる日本側の制裁に対し停止されていましたが、今回の決定で再開は見通せなくなりました。ロシア政府のこの発表を受け、吉田さんは改めて生まれ育ったふるさとに対する思いを語りました。
吉田義久さん:
「当時の生活。子どもは子どもなりの生活とか遊びとか。そういうふうなことを一つ一つ今でも思い出しますね」
富山湾の風景からふるさとの景色が思い起こされるといいます。
記者:
「水晶島からの眺めと似ている?」
吉田義久さん:
「そうそう、似ていないけど似ているように思うんです。ちょうど水晶から国後見ているようなもんで、能登半島の山が、あまり高くない山があるでしょ。ああ国後があそこにあるなってそんなふうに想像しながら見てます」
ビザなし交流などで幾度となく北方領土を訪れてきた吉田さん。しかし、今回のロシア側の一方的な対応で、ふるさとは遠のいてしまいました。
「やっぱりもう一度、一回島へ上陸して、ゆっくりと自分の住んでいた島を見てきたいなと思います。何もない島だけれどもやっぱりふるさとなんです」
北方領土返還要求運動富山県民会議(会長・渡辺守人県議会議長)の設立40周年を記念した北海道訪問団は7日、北海道庁の小玉俊宏副知事と面会した。ロシア政府が北方領土への「ビザなし交流」や「自由訪問」を巡る日本政府との合意を一方的に破棄するなど、領土返還がさらに遠のく中、連携を強めて粘り強く運動を展開していくことを確認した。(北日本新聞2022/9/8)
訪問団長の大野久芳前黒部市長が「この状況に屈することなく、当たり前のことが当たり前になるように引き続き取り組んでいく」とあいさつ。小玉副知事は「ロシア政府の発表は断じて受け入れることができない。今こそ連携を強めて世論を結集すべき。引き続き皆さんと共に粘り強く運動を展開したい」と述べた。県経営管理部の小杉健次長と大野団長が、新田八朗知事と渡辺会長のメッセージを伝達した。
道庁では、返還要求運動の関連団体との意見交換会もあり、互いの取り組みを紹介した。参加者からは「ビザなし交流の再開に向けて日本政府に働きかけることが必要」「若い人に向けた情報発信に力を入れていかなければならない」などといった意見が出た。
訪問団は5~7日の日程で北海道に滞在し、同会議の関係者ら22人が参加。羽田空港で解団式を行い、7日夜に帰県した。
小玉副知事(手前中央)と面会する訪問団