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〝語り部〟島民二世活躍も…若手担い手育成へ 千島連盟オホーツク支部

 北方領土の元島民とその後継者で組織する千島歯舞諸島居住者連盟オホーツク支部は、2月7日の「北方領土の日」を含む北方領土返還運動全国強調月間の今月、署名活動や交流活動を通じ、日本固有の北方領土についてあらためて考えてもらう、きっかけづくりに取り組む。高齢化が進む〝語り部〟の後継者育成にも力を入れる。(オホーツク日刊フリーペーパー経済の伝書鳩2024/2/6)

 1855年2月7日、日本とロシアの間で条約が交わされ択捉島とウルップ島の間に国境が確認されて以降、北方四島は日本固有の領土となったが、ソ連、ロシアによる不法占拠が続いている。

 7日にオホーツク総合振興局と合同で網走市の道の駅で署名活動を行うのをはじめ、北見厳寒の焼き肉まつり、あばしりオホーツク流氷まつりなどの会場で署名活動を実施する。

 北方領土の当時を語り継ぐ元島民の〝語り部〟は高齢化とともに数少なくなってきた。そんな中でも島民二世の語り部による学校訪問活動が地道ながら続けられている。

島民二世の語り部・松田真理子さん

 昨年8月には、島民二世の松田真理子さん=北見市=が語り部デビュー。北見豊地小学校の児童に向け、用意した地図や書籍を通じ「北方領土ってどんなところか、戦争ってどういうことか」を分かりやすく説明した。母や祖母から聞いた話をもとに「幸せだった家庭が一瞬にして消え去った」と話し、児童が熱心に聴き入ってくれたと初語り部の感想を述べた。

 同じく島民二世で同支部事務局長の北村浩一さん=同=は昨年12月、北見東相内中学校で語り部を行った。2007年に国後島を訪問した際に撮影した写真を持参し「日本人を嫌う人はそんなにいない。ただ国策の教育で間違ったことを延々とトレーニングされている」と率直に紹介した。

千島歯舞諸島居住者連盟オホーツク支部事務局長で島民二世の北村浩一さん

 「亡くなった父が正月に人が集まると島の話をよくしていた」という北村さん。語り部の後継者対策として、「親や祖父母、元島民の方の話に耳を傾けて、若い世代に引き継いでいってもらいたい」と交流会や学習会を通じ、担い手づくりに力を入れたい考え。