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サハリンとの交流支援に取り組む 三谷将さん

 ロシアのサハリン州との交流支援を個人事業として行う元稚内市サハリン事務所長。「民間交流の受け皿となり、サハリンの人たちから受けた恩を返したい」と語る。事業名は宗谷海峡を指すフランス語「ル・デトロワ」。文化やビジネスの交流を活発化させ、官民の架け橋になることを目指す。(北海道新聞2024/1/22)

 2023年8月までの市職員時代は友好都市交流などサハリンとの親交事業に約10年間携わった。サハリンには世界各国の人や物が集まる風土があり「世界の今が分かる場所」と感じるという。19年に事務所長として着任した後、新型コロナウイルスが流行し、ロシアがウクライナに侵攻した。困難に直面する度に感じたのはサハリンの友人たちの優しさだ。「政治の都合に振り回されるのではなく、隣人としての結びつきを大切にしたい」との思いを強くした。

 昨年秋に恵庭市に移り、ホームページを開設。サハリンの人と交流する場や観光、土産情報の提供、サハリンの企業紹介などのサービスを始めた。また、中央学院大の客員研究員も務め、国境地域の課題や現状分析についての発信にも取り組む。

 18世紀に宗谷海峡を横断したフランス人航海家ラペルーズとも縁がある。稚内で開かれたラペルーズに関する顕彰行事で英語通訳を担当してから約15年、子孫や研究者と親交を深め、昨年には訪仏した。ラペルーズは航海先で出会う人々を尊び、特にサハリンの住民の知性や優しさに感銘を受けた。「過度の偏見を抱かず、人と信頼関係を築いた彼を道しるべにしたい」と意気込む。50歳。(岩崎志帆)