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<四島ウオッチ> 外国製インフラ 相次ぐトラブル

 北方領土で、外国企業が整備したインフラ施設にトラブルが相次いでいる。道内各地で強風が吹いた17~18日、国後島南部の泊(ゴロブニノ)にある北方四島唯一の風力発電機が倒壊した。地元住民の通信アプリでは2基のうち1基の支柱が真っ二つに折れた様子が確認できる。(北海道新聞デジタル2023/11/29)

 風車はデンマーク製で、2014年に米国系企業が建設したが、2年後に中古品が流用されていたことが発覚したいわくつきの施設。島内では、90年代にずさんな施工が行われ、発電できないまま立っていたオランダ製風車の支柱も昨年折れた。住民からは「風力発電とつくづく縁がない」と嘆きの声が漏れる。

 風力は泊と近隣のドゥボボエ村で暮らす計約230人の住民の生活を支える電力源だが復旧のめどは立たない。日本の支援で整備された古いディーゼル発電機で代用している。

 10月上旬には国後、色丹両島でインターネットや携帯電話が約1週間ほぼ断絶した。サハリン本島と四島を海底で結ぶ光ファイバーケーブル4本のうち、択捉―国後間で3本が損傷したためだ。漁船のいかりが接触したとの見方もあるが原因は非公表。当局は衛星通信に切り替えるなどしたが、不安定な状態が続く。

 ケーブルは17~19年に中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」と、韓国企業が敷設。復旧作業ができる専門船はロシア極東に1隻しかなく、12月中旬にようやく作業が始まる予定だが、荒天が多い時期だけに順調に進むかは見通せない。(本紙取材班)