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ウクライナ侵攻後、ロシアへの関心「大いに変わった」稚内65% 北大・道新アンケート

 【稚内根室】北大スラブ・ユーラシア研究センターと北海道新聞が日ロの境界地域にある稚内根室両市で行ったロシアのウクライナ侵攻についてのアンケートで、侵攻後にロシアへの関心が「大いに変わった」と答えた人は稚内が65%と、根室より17ポイント高かった。同センターの岩下明裕教授は「侵攻をきっかけに稚内がロシアに近い境界地域であることを改めて認識した市民が多かったのだろう」とみている。(北海道新聞留萌宗谷版2023/9/22)

 侵攻後のロシアへの関心は「大いに変わった」と「多少変わった」を合わせると稚内が80%で、根室より11ポイント高かった。どう変わったかは「印象が悪化した」が100%だった。一方、侵攻前から関心が「大いにあった」と答えた人は稚内で34%と根室より14ポイント低く、「多少あった」を合わせても75%で8ポイント低かった。

 「ロシアとの関わり」は、稚内は72%が「特になし」と答え、2番目は「国際交流」の12%だった。サハリンに渡航した経験がある人は25%、北方四島への渡航経験者はいなかった。

 根室も「特になし」が最多だったものの50%と稚内より少なく、2番目は「北方四島(元島民など)」で27%だった。北方四島にビザなし渡航で行ったことがある人は31%、サハリンへの渡航経験者も13%いた。

 「ウクライナ侵攻後、北方領土問題解決の可能性をどう思うか」に対しては、「解決は困難」「将来の解決は見通せない」との回答が稚内は91%、根室は76%だった。「将来の解決に望みを抱いている」は稚内が4%、根室は13%だった。

 岩下教授は侵攻前の関心の差について「根室北方領土のビザなし渡航などでロシアの隣人たちとの顔の見える交流が盛んだった一方、稚内のつきあいは経済や観光が主だったためでは」と分析。北方領土問題解決に対する考えの差に対しては「根室は解決に向けた地元の強い願いが表れている」と指摘する。

 アンケートは8月に稚内市で4935枚、根室市で5830枚を新聞朝刊の折り込みで配布し、オンラインと両市内の道新支局への投函(とうかん)で稚内市68人、根室市(一部根室管内を含む)99人から回答があった。(河相宏史、松本創一)