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アニワ灯台(中知床岬灯台)の劣化進行 ロシア国防省は早期に再建を決定する必要がある

1939 年に日本人(灯台の設計技手・三浦忍)がサハリン南端に建設したアニワ灯台(中知床岬灯台)の老朽化が進み、劣化度は71%と危険な状態にある。一方で、観光客にとって最も人気のあるスポットとなっており、サハリン観光最大のハイライトとして旅行会社はツアーに組み込んでいる。こうした状況についてロシア極東・北極圏発展省のチェクンコフ大臣は「施設を復元することは可能であり、所管する国防省がまもなく修復の時期を決定する可能性がある」と述べた。「ロシア人観光客は大胆不敵にこの灯台を訪れるが、実際、それに値する」と大臣は強調した。灯台国防省の管轄で、現在、再建に向けて費用を見積もっている。大臣は「もちろん灯台は近代化されなければならない。これまでの評価によると、劣化の程度は 71%となっているが、近い将来、国防省サハリン州と協力して再建の時期を決定することを願っている」と述べた。アニワ灯台の悲惨な状態は、長年にわたり議論されてきた。倒壊の危険から一帯の訪問が禁止されたが、旅行会社は観光客を連れて行っている。このオブジェクトは本質的にサハリンの特徴であり、ロシアで最も興味深い場所のリストに含まれているほか、オンラインゲームで描かれ、切手にもなっている。(astv.ru 2022/9/30)

※中知床岬灯台 設計者は三浦忍技手。逓信省直営工事による3カ年継続事業で、工費は60万円が充てられた。建設にあたり敷地に資材を置くことさえ不可能で、約8km隔てた西岸のわずかな空き地に工事基地を設け、毎日船で通い工事を進めた。灯台は地上2階地下1階の楕円形平面の基部と、9層からなる灯塔で構成される。3階部分は1968年以降の増築でコンクリートブロックを用いている。(日本建築学会技術報告集第13巻第25号2007年6月「南サハリンにおける日本期の灯台の現況」より)