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貝殻島コンブ漁、日ロ交渉開始 漁業者の安全確保焦点

 例年6月に解禁される北方領土貝殻島周辺コンブ漁の操業条件を協議する日ロ間の漁業交渉が27日に始まったことが、関係者への取材で分かった。ウクライナ侵攻を続けるロシアに日本が経済制裁を科す中、約230隻に上る日本の漁業者の安全確保が議論の焦点となる見通しだ。(北海道新聞2022/5/28)

 関係者によると、ロシアは日本を非友好国に指定しているため、ロシア国境警備局による漁への監視が一段と強化される可能性がある。日本側は、ロシア側の監視態勢がどの程度厳格化されるのかの確認や、厳格化された場合、漁業者の安全をどう確保できるのかなどを中心に話し合いたい考えとみられる。

 ロシアが強硬姿勢を崩さず安全性が担保できない場合、最終的な出漁の可否は政権の判断に委ねられるとみられ、予断は許さない。

 貝殻島コンブ漁は北方領土を実効支配するロシア主張海域に入るため、拿捕(だ ほ)など不測の事態が起きないか政府内に慎重な見方があり、例年4月に行う交渉は大幅に遅れていた。一方、交渉の日本側窓口である民間団体の北海道水産会(札幌)は、沿岸漁業者の生活や地域振興にはコンブ漁が欠かせないとの立場を強調。政府は民間の意向を尊重し、交渉入りを認めた。(佐々木馨斗)