北方領土の話題と最新事情

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外務省ロシア課長に札幌出身の小野氏、新駐日ロシア大使にノズドレフ氏

札幌出身の外務省ロシア課長 小野健さん(北海道新聞デジタル2023/11/4)

 昨年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻を受け、平和条約交渉や北方領土墓参の再開の見通しがたたない中、対ロ外交の最前線に立つ。「特に墓参の再開は、日ロ関係の最優先課題の一つ。しっかりとロシア側に求めていく。なんとか突破口を開きたい」と話す。

 父が北電社員で、札幌市生まれ。札幌南高を卒業し、1993年に上智大に入学した。多感な時期に冷戦構造の崩壊や湾岸戦争の勃発など、国際情勢の激変を経験し、国際法を専攻。外交官を目指した。

 入省後、ロシア語を専門にしたのは「偶然」だったが、「領土問題はまさに国際法の話で、大学の専攻が役に立った」という。研修を含めロシア勤務は7年に及び、2001年のイルクーツクでの日ロ首脳会談などに同行した。

 今年8月中旬にロシア課長に着任した後、すぐに根室管内1市4町や札幌を訪れ、改めて墓参や北方四島周辺での漁業再開などに対する元島民の強い思いを感じた。「地元の皆さまの思いを具体的に、ロシア側にぶつけていく。そのためにも、より頻繁に北海道を訪れたい」と意気込む。

 20~22年には元徴用工問題で「戦後最悪」と言われた日韓関係を担当する北東アジア1課長を経験した。「北方領土竹島。日本が関わる二つの領土問題に課長として携わるのは巡り合わせ。責任の重さを感じます」とかみしめる。

 在ロシア日本大使館勤務時に始めたアイスホッケーで毎週汗を流す。50歳。(荒谷健一郎)

新駐日ロシア大使にノズドレフ氏 人事を内定、対話の再開模索

(北海道新聞デジタル2023/11/4)

 ロシア政府が次期駐日大使に、同国外務省で日本を担当するアジア第3局長のニコライ・ノズドレフ氏(52)を充てる人事を内定し、日本政府に同意(アグレマン)を求めていることが3日分かった。日本側が同意を出せば年内にも東京に着任する可能性がある。日ロ外交筋が明らかにした。

 日本政府は先月の閣議で、2015年から約8年間在任した上月豊久大使に代わる新たな駐ロシア大使に武藤顕前外務省研修所長を起用する人事を決定した。武藤氏は来月中にモスクワに赴任する予定。双方が新大使をほぼ同時期に着任させることになり、ウクライナ侵攻を巡って停滞する日ロ間の外交対話再開が模索されるとみられる。

 ただロシアは昨年2月のウクライナ侵攻を非難し対ロ制裁を科した日本を「非友好国」に指定し、日ロ間最大の懸案である北方領土問題を含む平和条約締結交渉の中断を表明。岸田文雄首相や閣僚、国会議員らの入国を禁止した。

 日本はプーチン大統領やラブロフ外相らの資産を凍結するなどし、両国関係は第2次大戦後の国交回復以来、最悪といわれるまでに悪化している。停戦や侵攻作戦の終結が見通せない中、近い将来の関係正常化は容易ではない。

 ノズドレフ氏は1994年にモスクワ国際関係大を卒業後に外務省入り。日本語に堪能で、2018年2月からアジア第3局長を務めている。

 東京の在日ロシア大使館では、ガルージン前大使(現外務次官)が昨年11月に離任した後に後任の大使が着任せず、空席のままになっている。

 ニコライ・ノズドレフ氏 1971年9月生まれ。94年モスクワ国際関係大卒。外務省入りし、2010~15年在オーストラリア大使館参事官。15~18年アジア第3局次長。18年2月から同局長。(共同)