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「陸揚庫」プロモーション動画に 根室―国後結ぶ海底ケーブル 根室市、予算案に制作費計上

 根室市は新年度、終戦直後まで根室北方領土国後島を結んだ通信用ケーブルの中継施設「陸揚(りくあげ)庫」のプロモーション動画を制作する。陸揚庫は昨年10月に国の登録有形文化財になり、全国からの視察が増えているという。市は施設を紹介する映像を作成し、北方領土問題の啓発に生かしたい考えだ。(北海道新聞根室版2022/3/9)

 市は開会中の定例月議会に提出する新年度一般会計予算案に、動画の制作費用を含む北方領土対策連携強化事業として計1900万円を盛り込んでいる。

 陸揚庫は、旧逓信省が1900年(明治33年)に根室市西浜町と国後島ケラムイ崎との間に38キロにわたって敷設した海底ケーブルの引き揚げ施設。戦後は民間に払い下げられたが、市が2013年に施設と土地を購入し、保存している。

 市北方領土対策課によると、文化財登録を受け、各種団体が市内を訪れる際に陸揚庫を視察することが増えているという。市は、陸揚庫は根室と四島とのつながりを示していると指摘。領土啓発に活用しようと、施設を紹介する動画の制作費を予算案に盛り込んだ。

 動画の詳細は未定だが、施設の説明やドローンを使った空撮、関係者へのインタビューなどを交える想定。30分のフル版と5分のダイジェスト版を制作し、DVDなどとして貸し出すほか、市のホームページでも配信する予定だという。同課は「根室市民にも見てもらいたい」と話している。

 陸揚庫の関連では現況調査の費用も新年度予算案に計上する。市は本年度、施設周辺の発掘を実施。新年度は海底に敷設されたままのケーブル部分を調査する。(武藤里美)

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