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日本人観光客を受け入れたのはサハリンの会社だった これでは国後島にお金が落ちない

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北方四島の話題

 Kurilnews.ru 2019/11/1

日本から初めて44人の観光客が到着した 

●…10月30日、日本の16都道府県から44人の観光客が「えとぴりか」で国後島に到着した。東京から来た人が最も多く15人。70歳代が16人、50--60歳が19人、最年少は35歳で2人いた。ユジノクリリスク(古釜布)の港で、彼らはサハリンの旅行会社「ビー・トモ」のガイドや南クリル行政府のサボチキナ副市長、そしてサハリン州観光局のパホルコワ局長の出迎えを受けた。

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●…観光ツアーは郷土博物館と近郊の「悪魔の指」(ローソク岩)への訪問で始まった。その後、日本からのゲストはゴロブニノ(泊)村に行き、ゴロフニン火山(泊山)のカルデラて記念写真を撮った。観光客は友好の家に宿泊し、地元のカフェ「アマデウス」で夕食をとった。10月31日、一行は国後島の観光名所である材木岩や古釜布の正教会を訪れた。地区文化会館では地元のアーティストが歌やダンスを披露して一行をもてなした。夕方、日本人観光客は「えとぴりか」に乗船し、隣の択捉島に向けて出発した。

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今度は島側ロシア人による北海道観光ツアーをすべきだ

●…国後島に来た44人の観光客は全員がビザなし交流のスキームで上陸した。1992年から、3つの島のロシア人と日本人に適用される慣行だ。それが今回の日本人観光グループにも適用された。最も抵抗が少ない方法をとったわけだ。

●…しかし、南クリルに住民登録しているロシア人住民は日本の観光ビザを発行してもらえない。隣国を訪問する唯一の機会は、ビザなし交流に参加することだけだ。この政治的なプロジェクトには、多くの制限や障害が存在する。特に、島のロシア人にとっては。

●…とにかく今回、日本人によるクリル諸島への最初の観光ツアーが行われた。同じように、今度はクリル諸島のロシア人住民による北海道への観光ツアーが行われるべきである。 

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滞在2日目、突然日本人は記者の質問に答えなくなった…

●…初日にロシアのテレビや新聞の特派員が日本人観光客に質問した。彼らはあらゆる種類の質問に答えた。しかし、国後島滞在2日目になって突然、話さなくなった。誰かが話すことを禁じているかのようだった。多くの通訳がいて、日本語が話せるジャーナリストがいたにもかかわらず…

●…政治がなかったわけではない。東京から来た年配の女性は日本人墓地を訪れた時に、こういった。「私はこれまで島に来たことがなかった。でも、見てみたいと思っていた。私の多くの同胞がここに埋葬されているからだ。この土地はかつて日本の領土だったと知っているか。私はいつも泣いている」…。

●…ツアー客の中に、島に何度も来ていて、記者をよく知るっているという人が9人いた。外務省の職員であり、通訳であり、ビザなし交流の関係者だった。

 

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ツアー受け入れで国後島にはお金が落ちない

●…国後島ではツアーの受け入れをユジノサハリンスクの旅行会社が担当した。しかし、彼らは3人だけだった。ガイドたちは正教会にゲストたちを連れて行ったが、その教会の歴史やロシアの習慣について説明はなく、日本人は沈黙の中を歩くだけだった。日本へ行ったクリル住民は日本側から神道や仏教について詳細な説明を受けるのに。郷土博物館では、ロシアの女性ガイドが地域の歴史でゲストを魅了しようといくら頑張っても、観光客は沈黙したままだった。

●…隣の択捉島では地元の旅行会社が受け入れを行っていることに驚いた。何らかの理由で、国後島では島外のスペシャリストの助けが必要だったようだが、つまるところ日本人観光客の受け入れで得られたお金は地元の国後島ではなく、サハリンに持っていかれたということだ。国後島にも観光ビジネスがあり、外国人観光客の受け入れに従事している民間企業がある。ついでながら、夏にはイギリスやバルト海沿岸諸国、その他の国々からかなりの観光客が訪れている。