北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

色丹島のボ人ティアが日本人墓地を清掃 死者を悼むラドニツァの日に水仙の花

色丹島のボランティアが5月初旬に日本人の墓地を掃除した。択捉島国後島やその他の島々には、そんな墓地が何十か所もある。ボランティアはSUVを駆り、徒歩で墓地まで行かなければならない。色丹島では、マロクリリスコエ(斜古丹)村の市街地、マロクリルスカヤ湾(斜古丹湾)を見下ろす「丘412」(斜古丹山)に日本人の墓地がある。ここには何百人もの漁師が埋葬されている。彼らは1945年まで島で働いていた男性、女性、そして幼い子供たちであり、死後も間近に海を望んでいる。イリーナ・コノヴァロワさんは「日本語はわからないけど、1つの墓石から故人の運命をたどることができる。楕円形の墓石は、前面がきれいにカットされている。これは、その人が繁栄していたことを意味している。このような墓石はあまりない。裏側には、故人を埋葬した親しい人々の名前が刻まれている」と話した。ビザなし交流で、少なくとも年に一度、日本の訪問団は彼らの先祖の墓をお参りするためにやって来た。花輪とお供え物を用意し、そこでお経をあげた。墓地は地元の住民によって手入れされてきた。墓地の世話をするミハイル・ドゥダエフさんは今も日本人との交流を維持しており、墓地の状態に責任を持っている。ドゥダエフさんは「人は違うが、色丹島住民はよその国の人々の伝統を尊重する人間であり、わざとゴミを捨てたり汚したりするようなことはしない」と語った。過去3年間、色丹島に日本人が来ることはなかった。第一に、明白な障害(新型コロナウイルスの感染拡大)のせいだ。それから現在の政治的な要因。しかし、色丹島の住民は日本人の墓を放置することはしなかった。日本人墓地の隣には、色丹島に最初に入植したロシア人の墓地が整備されている。ボランティアは両国の歴史を大切にしている。アナスタシア・ディオムキナさんは「私たちがそれをしなければ、誰もしません。高齢者はおそらくそれをやりたくないでしょう。若い人は、歴史をすべて知っているわけではありません。私たちは学校でその話を伝えようとしています。大祖国戦争(ナチスドイツとの戦争)や島に残された歴史的な遺産について知っているのは私たちの世代だけです」と話した。冬が終わり雪が解けた5月初旬、ボランティアたちは墓地の清掃を行った。彼らは近隣から飛来した枯れ葉やゴミを集めた。そして、亡くなった人を追悼する日の5月3日(ラドニツァ)には、誰かが水仙を墓石に供えていた。組織的なプロモーションや金銭目的ではなく、心からの行為である。色丹島は何十年もの間、記憶を大切に受け継いできた。そして彼らは言う。これからも、子供たちに人間として純粋に大切なものを伝えていくだろうと。(GTRKサハリンテレビ/2022/5/12)  

https://www.facebook.com/dudaev.m.a/videos/683508599604624/

 

根室・花咲港内にクジラの死骸 体長6.9メートル

 根室市内の花咲港にクジラの死骸が漂着しているのが見つかった。市によると、体長6・9メートル、重さ3・7トンの若いマッコウクジラとみられ、16日に埋却した。(北海道新聞電子版2022/5/17)

 15日朝、「港内にクジラの死骸らしいものがある」と漁業者から根室海保に通報があり、船舶の航行に支障があることから海保と漁業者が死骸を岸壁に係留した。16日朝に港を管理する市が重機で引き上げ、調査用の検体として一部の筋肉などを採取した上で埋め立て処分した。

 市歴史と自然の資料館の外山雅大学芸員によると、市内では2019年にもマッコウクジラの打ち上げがあったという。

 採取した検体は鯨類研究者らでつくるNPO法人ストランディングネットワーク北海道」(函館)に送り、クジラがどのような群れに所属していたかなどを調べる。(武藤里美)

 

武器貸与法

<今日の話題>(北海道新聞夕刊2022/5/17)

 ロシアの侵攻を受けるウクライナに、武器類の迅速な貸与を可能にする武器貸与(レンドリース)法が先週米国で成立した。

 第2次世界大戦時にも同様の法律があった。

 米国はそれに基づき、ナチス・ドイツ相手に苦戦する英国やソ連などに大量の軍需物資を供給し、連合国側は劣勢を挽回した。

 米国の支援はさらに続く。

 1945年2月のヤルタ会談ソ連の対日参戦が決まると、米国は大量の艦船をソ連に無償貸与し、アラスカに1万人以上のソ連兵を集めた訓練も行った。

 「プロジェクト・フラ」と呼ばれる米ソ合同の極秘作戦である。

 樺太南部と千島列島の占領には、そのソ連兵たちと米国貸与の艦船が投入された。

 このように歴史を動かした軍事支援の仕組みが復活する。

 埋もれていた米ソ極秘作戦の事実は、根室振興局が2015年度から3年間行った北方領土遺産発掘・継承事業で明らかにされた。

 根室振興局副局長として調査を取りまとめ、今は根室市北方領土対策監を務める谷内紀夫さん(64)は「かつては米国がソ連に勝ってもらおうとしてやったことが、今度はその継承国のロシアを勝たせないために行われる。皮肉なことだ」と話す。

 まさに繰り返される歴史のらせんを見る思いがする。

 武器貸与法が威力を示した1941~45年は、戦火が世界に拡大した時期に重なる。その歴史を繰り返してはならないことは、言うまでもない。(相内亮)

 

択捉島 SNSに過激派ビデオを投稿した住民に罰金刑

択捉島の住民がSNSのテレグラムチャンネルに、禁じられた過激派ビデオを投稿したとして罰金を科せられた。住民は今年3月、テレグラムチャンネルのニュースグルーブに、過激派の資料リストに含まれているビデオを投稿した。クリル地区検察当局がサハリンのFSB(連邦保安庁)の協力を得て捜査を行い、行政犯罪法(連邦のリストに含まれている過激資料の大量配布)違反で起訴。裁判で有罪となり、罰金を科せられた。(サハリン・インフォ2022/5/17)

 

色丹島・穴澗 クリリスキー・ルイバクがスケトウダラ漁用に漁船購入

色丹島クラボザボツコエ(穴澗)にあるギドロストロイ傘下の水産加工場クリリスキー・ルイバクがスケトウダラ漁のために新たにトロール漁船を購入した。2002年建造の中古船で全長64m、全幅13m、喫水7.2m。最高速度は14.2ノット。1,759トンの貨物を積載できる。(Shikotan News 2022/5/16)

 

【ビザなし交流30年】ロシア側第1陣が根室に到着 1992年4月22日

ビザなし渡航スタート ロシア住民19人、根室に到着 500人出迎え

 北方領土からのビザ(査証)なし渡航の第一陣となる、道招待の訪問団(団長、ミハイル・テレンコ南クリール議会議長)の19人は22日午後1時10分、ロシアの貨客船「マリーナ・ツベターエワ号」(3,900トン)で、根室・花咲港岸壁に接岸、両国の新たな交流の一歩を踏み出した。(北海道新聞夕刊1992年4月22日)

 この日の根室地方は朝のみぞれが、昼ごろには雨に変わり正午の気温は2.0度。歓迎式の会場となる花咲港の岸壁には急きょテントが設営され、関係者たちはゆっくり港に入って来るツベターエワ号を見守った。岸壁では約500人が出迎えた。

 ビザなし渡航は昨年(1991年)4月、来日した当時のゴルバチョフソ連大統領が提案。昨年10月、正式合意したが、旧ソ連の政変、崩壊などによる混乱で、実現が遅れていた。

友好交流の「海明け」雨の岸壁で抱擁 ビザなし渡航第1陣 

 戦後47年、固く閉ざされてきた北の海の向こうからやって来たのは、笑顔を満面にたたえた人たちだった。初めてのビザ(査証)なし渡航根室市花咲港に到着した北方領土からの隣人19人は、22日午後、同港岸壁に上陸、日ロ関係と北方四島の歴史に新しい一歩を刻んだ。出迎える顔も、また笑顔ばかり。あまりに長過ぎた「近くて遠い仲」の距離が一気に縮まった。(北海道新聞1992年4月23日)

 

 

北方四島含むクリル諸島 空前の観光ブーム到来か

北方四島を含むクリル諸島(千島列島)がロシア人の新たな観光地として脚光を浴びている。今年7月~8月はほとんどすべてが売り切れ状態になっている。(※ホテルなのか飛行機、フェリーのチケットなのか言及なし) サハリン州観光省によると、コロナ禍で海外旅行が制約を受けたことでクリル諸島への注目が高まり、2021年の観光客数は前年の2倍を記録した。「今年も大勢が訪れるだろう。クリル諸島には大きな需要がある」と観光省はいう。問題は交通とホテル不足だが、国後島では、本格的なホテルの整備に時間がかかることから、オムスクの企業家が「プレハブ型モジュールホテル」を整備するため複数の土地を購入し、まもなく建設を始めるという。また、クリル諸島観光の今年の特徴は、クルーズ船による観光だ。モスクワの2つ企業が企画しており、クリル諸島11日間の周遊プランで1人68万ルーブル、もう一つは「サハリン--クリル諸島--カムチャツカ」を巡るクルーズで、同56万5,000ルーブルで提供している。(サハリン・インフォ2022/5/16)

※資料映像