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サケ・マス流し網漁 1週間早く解禁 根室・歯舞漁港などから出漁

 【根室、厚岸】道東沖など日本200カイリ内のサケ・マス流し網漁が3日午前0時に解禁され、根室市歯舞漁港などから小型船(14トン未満)が次々と出漁した。海水温の上昇などから今年は出漁を1週間前倒しし、これまでで最も早いスタートとなった。(北海道新聞2024/4/4)

 最大の拠点港、歯舞漁港からは午前0時に9隻が次々と出漁。家族や漁協職員らが手を振る中、エンジン音を響かせて漁場へ向かった。第11明洋丸の機関長、東原(とうはら)大さん(29)は「出漁が1週間早いのではしりに期待したい」と語った。

 厚岸漁港から出漁した第31美咲丸の漁労長佐藤賢彌さん(32)は「水温が大分上がっている。行けるところまで行って(水温が)高い水の壁にぶつかったら網を入れる」と話した。

 道は水温上昇などを考慮し、従来4月10日~7月7日だった漁期を4月1日~6月末に早め、この日の出漁は漁業者団体の太平洋小型さけ・ます漁業協会(札幌)が決めた。流氷が心配されたが見えなくなったため、予定通り出漁した。今期は根室市釧路管内厚岸町苫小牧市などの20隻が出漁を予定している。

 サケ・マス流し網漁は産卵した川のある国に所有権があるとする「母川国主義」に基づき、日ロ交渉で操業条件を決める。今年の漁獲枠は前年と同じ2050トン。ベニザケやシロザケ、カラフトマスなどを捕獲する。道によると、昨年の漁獲量は前年比1割減の666トンだった。

道東の漁業者 1週間早い出漁歓迎 サケ・マス流し網漁解禁

(北海道新聞根室版2024/4/4)

 【根室、厚岸】漁期が前倒しされたので頑張って取る―。道東沖など日本200カイリ内で操業するサケ・マス流し網漁が始まった3日、根室市厚岸町などから出漁した漁業者は従来より1週間早い出漁に「豊漁を期待したい」と意気込み、沖へ向かった。(北海道新聞根室版2024/4/4)

 初日は根室市(13隻)、厚岸町(3隻)、苫小牧市(1隻)から計17隻が出漁した。最多の9隻が出漁した歯舞漁港では家族や漁協職員らが見送った。歯舞漁協所属の第58栄福丸の甲板員(73)は「出漁が早いのは良いこと。大漁になれば」、第8吉丸の機関長佐々木辰巳さん(49)は「期待できる。これまで漁期の終わりにはあまり魚がいなかった」と話した。

 厚岸漁港でも「やっかいなイワシが来るまでに取りたい」「昨年は行った時から魚が十分に見えていた」と早期出漁を歓迎する声が聞かれた。漁業者によると、かつては約320キロ沖までが漁場だったが不漁を招く暖水塊が北上し漁場は約160キロ沖までに狭くなっているという。厚岸漁協所属の第31欣祥丸の乗組員は「今日行くところは(沖に)2時間から2時間半ほど。トキシラズ(回遊中のシロザケ)を狙う」と語った。

 サケ・マス流し網漁は春の味覚トキシラズなどを求めて沖合で操業する。今年は昨年と同じ20隻が出漁予定。特にトキシラズは脂が乗った魚として知られ、漁業者団体の太平洋小型さけ・ます漁業協会(札幌)の小田司会長(根室市)は「この時期しか味わえない旬の魚を味わってほしい」と呼び掛けている。

 道は海水温上昇や海洋状況の変化を考慮して今年の漁期を従来の4月10日~7月7日から4月1日~6月30日に前倒しし、同協会が出漁日を4月3日と決めた。

 操業条件は、産卵した川のある国に所有権があるとする「母川国主義」により日ロ交渉で決める。今年の漁獲枠は2050トンで2015年から10年連続で同じ。かつて主力だったロシア200カイリ内サケ・マス漁は資源保護などを理由に2015年を最後に中断されている。