2024-03-01から1日間の記事一覧
択捉島の中心部に位置する紗那。そこで暮らした6歳までのおぼろげな記憶のなか、天野瑠美子さん(82)には鮮明に思い出す言葉がある。 「マリンキ イジスダ」(小さい子、いらっしゃい) 父親がロシア人夫婦に貸していた隣家から流れてくる甘い香りに誘われ…
国後島(くなしりとう)の東海岸を航行する船から、雪の残る頂が見えてきた。爺爺岳(ちゃちゃだけ、標高1822メートル)だ。 「私にとって心の支えのような存在。故郷に戻ってきたという実感がわきました」 2000年6月、木元護さん(86)=北海道木古内(きこ…
桜が咲くのは6月。8月上旬になるとハマナスの群生が満開になり、村は「バラの香り」に包まれる。秋は、おびただしい数のサケが遡上(そじょう)し、まるで川が煮えたぎったようだった。 択捉(えとろふ)島の最北に位置する蘂取(しべとろ)村出身の鈴木咲子…
札幌市の自宅の庭に植えたハスカップを眺めていると、ふと胸中に去来する詩がある。 《ふるさとの山に向ひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな》 作者は石川啄木だ。 北方領土の国後島で生まれ育った大塚誠之助さん(88)は、豊かな自然のなかで子…
朝日新聞にしては珍しい北方領土の連載企画です。 1945年、ソ連は日ソ中立条約を無視して北方四島に侵攻・占領。ロシアとなった現在でも不法占拠が続いている。元島民は高齢化が進み、約7割が亡くなっている。記憶を後世に伝えるため、当事者たちを訪ねた。(…
ロシア連邦国家統計庁(ロスタット)によると、2023年1月から12月までにサハリン州を訪れた観光客は約51万5,000人に上った。30万3,000人だった2022年の1.7倍に増えた。サハリン州政府のアルテム・ラザレフ観光大臣は「夏も冬も観光客が増加している。冬観光…
択捉島レイドヴォ(別飛)に建設されたグランピング施設「クリル・グランピング」の経営者は、強風によってドーム型テントが破壊されたという情報を否定した。同社代表のスヴェトラーナ氏によると、2月27日から28日の夜にかけて、グランピング施設は財産を盗む…