北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

択捉島「3度目の正直」でやっと新市長が決まる

5カ月間も市長不在だった択捉島を管轄するクリル地区では、3度目となる市長候補の選定手続きで、やっと新しい市長が決まった。同地区議会は「私たちの市長はアンナ・オスキナになります。彼女は市長代理としてロコトフが去った後も常に職務を遂行してきました」と語った。昨年11月にワディム・ロコトフ前市長が辞任した後、クリル地区では権力の空白が生じた。この間、市長の職務は元判事であるアンナ・オスキナ氏が務めていた。これまで二度の市長候補選定手続きが取られたが、誰一人立候補する人がいなかった。同地区では市の予算に4億ルーブルの穴が開いていることが判明したほか、道路の除雪工事に伴う借金を返済できていない。さらに、高級ホテルへのアクセス道路建設に18億ルーブルを割り当てる一方、軍人の子供たちのための幼稚園が整備されていないなど問題を抱えている。(citysakh.ru 2024/4/23)

アンナ・オスキナ氏

国後島 ホタテとコマイを密漁 サハリンの漁業会社820万ルーブル賠償

国後島の南クリル地方裁判所から、ホタテやコマイを無許可で漁獲していたとして罰金190万ルーブルを科せられたサハリンの漁業会社が、違法な漁業によって生じた損害820万ルーブルを国に賠償するはめになった。択捉島のゴリャチ・クリュチ駐屯地の軍事検察局の捜査によると、同社は2020年にホタテ貝2万1,000個(4.7トン)を無許可で捕獲し、2022年にもコマイ2.4トン(7,000尾以上)を無許可で獲った。被害額は820万ルーブルを超えたという。ゴリャチエ・クリュチ駐屯地の軍事検察官は法廷で、サハリンの漁業会社から損害額を回収するよう要求した。同地裁は検察官の主張に全面的に同意し、同社は被害相当額を全額支払った。(astv.ru 2024/4/24)

 

 

択捉島で新市長オスキナ氏の就任式

24日、択捉島リリスク(紗那)のスポーツ文化会館のコンサートホールでクリル地区の新市長に選ばれたアンナ・ヴィクトロヴナ・オスキナ氏の就任式が行われた。オスキナ氏は23日に開催された第13回地区議会で全会一致により市長に選出された。任期は5年。厳粛な雰囲気の中、新市長は自治体憲章に従って宣誓を行った。タチアナ・ベロウソワ議会議長、サハリン州政府のエカテリーナ・シドリーナ内政局長、正教会のローマン神父が祝福し、今後の仕事での成功を祈った。オスキナ氏は「私はいつでも択捉島に住む皆さんの声に耳を傾ける用意ができており、この国の小さな一部である私たちの市、地区をより良くするためにあらゆる努力をするつもりです」と誓った。(赤い灯台テレグラム2024/4/24)

 

択捉島 サハリン州知事が新市長を祝福

サハリン州のリマレンコ知事は自身のテレグラムで、択捉島を管轄するクリル地区の市長に選出されたアンナ・オスキナ氏を祝福した。「クリル地区議会の議員は全会一致でアンナ・オスキナ氏を市長に選出した。彼女は昨年12月から市長代理を務めており、それ以前はクリル地区の第一副市長だった。彼女は19 年以上を公共の奉仕に捧げ、クリル地方検察庁の捜査官、司法管区の治安判事、クリル地方裁判所の所長として働き、長年にわたり、住民の信頼と同僚からの尊敬を獲得してきた。私は新市長がクリル地区とその住民の利益を目的とした非常に重要な仕事で成功することを祈っている」と書いた。地区議会の決定が「クラスヌイ・マヤーク(赤い灯台)」紙に掲載された後、24日に宣誓式が行われ、正式に市長に就任することになる。(赤い灯台テレグラム2024/4/23)

新市長を決めたクリル地区議会

択捉島 新市長決まる 満場一致でアンナ・オスキナ現市長代理

択捉島を管轄するクリル地区議会が23日に開かれ、地区行政府で市長代理を務めるアンナ・オスキナ氏を新しい市長に選んだ。これに先立って候補者選考委員では、オスキナ氏と行政府管理局の副部長アンドレイ・ボリセンコ氏の2人を候補者として登録した。地区議会の全議員による投票が行われ、満場一致でオスキナ氏が新市長に決定した。(「エトロフ・ニュース」テレグラム2024/4/23)

 

 

80年経っても忘れない 北方領土の記憶、富山で語り続ける元島民ら

 約80年前の終戦後、北方領土の島から富山県内に引き揚げた人は、約1400人と北海道に次いで多い。元島民や後継者は返還を求めつつ、交流などで現地を訪れてきたが、日ロ関係が悪化し行き来は中断。先が見通せないなか、「領土問題を知ってほしい」と島の記憶を伝えている。(朝日新聞デジタル2024/4/20)

 同県入善町の入善西中学校で2月、2年生約100人が参加する北方領土学習会があった。講師は、元島民らでつくる社団法人「千島歯舞(はぼまい)諸島居住者連盟」富山支部の人たちだ。

 「長い昆布を1本ずつ並べて干すのを手伝った。真っ白い砂の、きれいな浜でね」。紙屋夏子さん(83)=黒部市=は、のどかだった暮らしを紹介した。幼い頃、昆布漁に携わる両親とともに、春から秋の間は歯舞群島の志発(しぼつ)島に住んでいた。

 忘れられないのは終戦後、旧ソ連軍が侵攻してきたことだ。「兵隊が大きな鉄砲を持って家に入ってきた。母ちゃんが連れてゆかれるのが心配で、しがみついた」。涙声で語ると、生徒はうなずきながらメモを取った。

北方領土を紹介する冊子を前に、島の思い出を語る紙屋夏子さん(右)と東狐百合子さん=2024年3月2日、富山県黒部市

返還運動全国強調月間の2月に開かれた北方領土の写真展。元島民やその家族が会場に詰め、訪れる人に往時の島の様子などを説明した=2024年2月29日、富山県黒部市役所

入善西中学校であった北方領土学習会で、島の暮らしを語る紙屋夏子さん(中央)=2024年2月16日、富山県入善町上野

引き揚げ者が多かった富山県黒部市に開設された「県北方領土史料室」で、展示の説明をする大野久芳さん=2024年2月13日、同市生地中区

北方領土や知床連山一望 根室市役所新庁舎で内覧会 

 【根室】5月7日に開庁する根室市役所新庁舎で20日、市民向け内覧会が開かれた。震度7地震でも倒壊しない耐震性を備えるほか、北方領土国後島や知床連山を海越しに望む市民交流サロンが特徴で、訪れた人たちが景観を楽しんだ。(北海道新聞2024/4/21)

 新庁舎は地上4階地下1階建て。1973年に建設した旧庁舎の隣に事業費約58億円で建設した。

 目玉は4階の市民交流サロンと食堂。南側を除く3方向は天井の高さまでガラス張りで、窓側のカウンター席には充電用の電源やUSBの差し込み口も設けた。開庁後は週末も開放し、北方領土を学ぶ観光客の利用も想定する。災害対応拠点として停電後3日間は電力や給排水を維持し、住民290人の一時避難所にもなる。

 この日は悪天候だったが、4階からは知床連山がうっすらと見え、午前9時の開場と同時に訪れた根室市の主婦吉江郁子さん(83)は「とても眺めが良い。市外にいる子どもたちにも早く見せたい」と笑顔をみせた。(大井咲乃)