北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

新支部長に稗貫さん選任 千島連盟十勝支部、帯広で総会

 北方領土の元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟十勝支部の2024年度通常総会20日帯広市のとかちプラザで開かれた。新たな支部長に稗貫秀次さん(64)=帯広=を選任した。25人が出席。語り部活動や領土返還を求める署名運動、北方領土の基礎知識を伝えるパネル展の開催など24年度事業計画を決めた。(北海道新聞帯広・十勝版2024/4/21)

 稗貫さんは国後島の元島民2世。総会後、稗貫さんは「元島民1世や2世が減り、活動が先細りしている。3世や4世の入会を促進し、領土返還の機運を高めたい」と話した。

 支部会員数は3月31日時点で44人。高齢などで3人が退会した一方、元島民2世、3世の3人が新たに加わった。

 

択捉島沿岸漁業 7船団が着業 タラなど約400トン漁獲

3月下旬からスタートした択捉島沿岸漁業では、島内の漁業会社「クリリスキー・ルイバク」所属の7船団が従事している。漁師たちはすでにスケトウダラ184トン以上、タラ207トン以上を漁獲している。第一船団のロマン・セレズネフ船長と彼のチームは約80トンを水揚げして首位を走る。昨年の沿岸漁業の漁獲量はタラが1,322トン(2022年は1,167トン)、スケトウダラは90トン(同137トン)だった。(赤い灯台2024/4/19)

 

択捉島 市長候補に男女2人が応募 22日に選考委員会、23日に議会で承認

来週の最初の 2 日間は、択捉島は政治に関するニュースで退屈することはないだろう。22日の月曜日には、クリル地区の市長ポストの候補者を選出する選考委員会が開催され、応募者の選考が行われる。島の新聞「赤い灯台」によると、現時点で2人の応募者が書類を提出した。ここで氏名は明かさないが、女性と男性であり、いずれも行政府で働いているので、住民にはよく知られた人たちだ。2人のうちどちらが市長候補になるのか、憶測はしない。翌日23日午前10時に地区議会が開催され、議員の投票により新市長が決まる。(赤い灯台テレグラム2024/4/21)

                         択捉島を管轄するクリル地区都市管区の市章

サハリン—択捉島便 キャンセル待ちリストのトップに

サハリン州運輸・道路事業省が運営する航空券の「キャンセル待ち」登録センターで、申請者が最も多い路線はサハリン—クリリスク(択捉島)線だった。4月8日から4月14日まで、38人が「待機リスト」に追加されたが、申請者のほとんどは、夏季にユジノサハリンスク--クリリスク便だった。同省のマキシム・ゾゴレフ大臣は「航空会社と協力して、ユジノサハリンスク発クリルスク行きの追加便の手配に取り組んでおり、観光客だけでなく、休暇や帰省で利用するクリル住民にもチケットを確実に提供できるよう対策を講じている。今夏、航空会社は便数を1日2便に増やし、主に旅行代理店によって8,000枚以上の航空券が購入された。今後、追加便の航空券が計画的に販売される予定で、キャンセル待ちリストに基づいて航空券の必要性を毎日分析している」と話している。(サハリン・メディア2024/4/18)

 

国後島・色丹島 ハクチョウの飛来数過去最多を更新

国後島で羽を休めていたハクチョウがサハリン南部を含む営巣地に向けて移動を始めた。国後島に飛来するハクチョウの数は2年連続で過去最多を記録した。クリル自然保護区の研究者によって記録された最大の集団は215羽で構成されていた。国後島で観察できるハクチョウは主にオオハクチョウで、今年3月1日にはベスロフスキー半島(ケラムイ崎)の海岸で215羽が確認された。また、色丹島北西部のデリフィン湾でも1月18日に35羽が記録された。(astv.ru 2024/4/19)

 

「ブルーだろうが、何色であろうが、いかなる報告書も、この現実を変えることはできない」 ロシア外務省が「外交青書」批判

ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、クリル諸島南部(※北方四島)の「不法占拠」に関する日本外務省の報告書(※外交青書)についてコメントし、「これらの島々に対するロシアの主権は否定できないだけでなく、原則としていかなる議論の対象にもならない。ブルーだろうが、何色であろうが、いかなる報告書も、この現実を変えることはできない」と述べた。ザハロワ報道官はクリル諸島南部は第二次世界大戦後、法的な国際的根拠に基づいてロシア領土の不可欠な一部となったと強調し、「それらはまず第一に、国連憲章に明記されている」と説明した。さらに「毎年、日本の外務省は退屈で時代遅れの表現で複数ページの文書を作成しているが、 読んでも意味がない」とも述べた。(sakh.online 2024/4/19)

ロシア、外交青書を批判 北方領土の現状「変わらず」

(時事通信2024/4/18)

 ロシア外務省のザハロワ情報局長は18日の記者会見で、日本の2024年版外交青書で「北方領土はロシアに不法占拠されている」との表現を踏襲したことについて、「ロシアの主権は否定できず、原則として議論の対象にならない」と批判した。その上で「いかなる報告書も現状を変えられない」と述べた。

 外交青書で「不法占拠」の表現は22年版から続いている。ザハロワ氏は「毎年出版され、同じことを記述するものを読んで時間を無駄にすることは勧めない。(外交青書は)退屈で時代遅れだ」とやゆした。

 

<四島ウオッチ>子供増加 相次ぐ新規開校

 ロシアが実効支配する北方領土で、学校と幼稚園の新規開校が相次いでいる。

 国後島南部の泊に5日、幼稚園・学校の一体型施設が開校した。北方四島を事実上管轄するサハリン州政府によると、隣接する集落ドゥボボエを含めて計100人の子供たちが通うという。(北海道新聞2024/4/19)

 2022年と23年にも択捉島別飛(べっとぶ)、紗那にそれぞれ学校が開校。紗那の新校は定員400人でクリール諸島(北方領土と千島列島)最大。物理や生物など多分野の専用教室や充実した運動設備があり、リマレンコ州知事は「快適でハイテクで、時代のあらゆる要求を満たす学校」と誇る。色丹島穴澗などでは幼稚園の建設も進んでいる。

 四島では、水産、建設業などの仕事を求めて国内各地などから一時的に移り住む若い世代の家族が増えているとみられ、子供の数が右肩上がりだ。連邦統計局によると、23年1月1日時点で就学前の1~6歳の人口は1879人。10年前と比べて約60%増え、総人口の約10%を占める。

 ロシア政府はウクライナ侵攻後、四島の道路や港湾などの整備費を縮小しているが、教育施設に関してはおおむね維持している。

 一方、択捉島選出の州議会議員は9日、通信アプリで軍の村がある瀬石温泉に幼稚園がなく学校も老朽化していることを指摘し、「こんな場所はロシアでここだけだ」と州政府を批判。侵攻を支える軍への配慮も見えるが、整備が追いついていない実態も根強くあるようだ。