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択捉島・紗那 住民が謎の「石」をクリル郷土博物館に寄贈

択捉島リリスク(紗那)のクリル郷土博物館のコレクションが地元住民が寄贈するユニークな展示品で大幅に補充されている。その中には、ペトログリフのある石、アイヌの槍と矢じり、日本の手水鉢、北海道で1739年に噴火した樽前火山の灰を含む岩の破片などがある。そして今週初め、謎がまだ解明されていない新しい展示品が登場した。シュミゴロドク村(天寧の近郊)の古参住民ウラジミール・ベリー氏が、斧の柄のように見える石を博物館に寄贈した。これは専門家の間ですでに論争を呼んでいるため、詳細な調査の対象となっている。郷土博物館のエレナ・グルゾビコワ館長は「一見すると、斧の柄です。手に取ると、まさにこの形で使われていたことが手触りでわかる。ロープ用の溝があり完成度が高いことが分かります。おそらく、この斧は骨を砕くために使っていたのでしょう」と推測。自分の仮説を裏付けるためサハリン郷土博物館に連絡を取った。同博物館の考古学部門の責任者オルガ・シュビナ氏が調べたところ、人間の手で作られたことを確認したが、正確に何であるかは疑問のままだ。この石は約20 cmの大きさで、新石器時代の道具の通常のサイズを大幅に超えていると指摘。「旧石器時代の道具に似ていますが、ちょっと違うようです。おそらく、氷上釣りのために川の氷を割る(つまり、アイスピックとして使用する。その場合、石を特別に加工する必要はない)か、動物の骨を砕くためのものかもしれませんが、はっきりしません」という。クリル郷土博物館のオルガ・シュビナ館長は、その遺物がどこで、どのような状態で発見されたのか、その場所に他の発見物があったのかなどを調査する必要があるという。発見したウラジミール・ベリー氏によると、遺物はカサトカ1遺跡で発見されたと語った。この遺跡は、カサトカ湾(単冠湾)に流れ込む水路の河口から350メートル、かつてのカサトカ集落の南東郊外にある。考古学的発掘調査の際、専門家らは、この遺跡は文化層の石炭の絶対年代測定によって紀元前4220+160年と確認されている。(択捉島の地元紙「赤い灯台」ウエブサイト2024/9/4)