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<四島ウオッチ>色丹島に“また”飛行場計画浮上

 北方領土色丹島で、飛行場の整備計画が“また”浮上している。北方四島を事実上管轄するロシア・サハリン州政府はサハリン本島の州都ユジノサハリンスク色丹島を結ぶ定期便の開設を目指し、今月中旬に連邦政府傘下の設計評価機関が計画を承認した。(北海道新聞デジタル2023/8/18)

 飛行場は島西部ノトロ山の東斜面に南北730メートルの滑走路と2機分の駐機場などを備え、約20人乗り小型機が年間300回離着陸できる設計だという。ただ、計画は6年半前に当時の州知事が表明して以降、ほぼ凍結されていたものだ。

 7月上旬、リマレンコ州知事トルトネフ副首相に四島開発の停滞を叱責(しっせき)された直後に「2年で達成される」と再表明した。プーチン政権が極東開発を国家的課題と位置付け、今年は10年の節目。実績づくりをせかされているようだ。

 州政府系メディアなどは計画を大きく報じているが、総事業費の記述は見当たらない。ウクライナ侵攻による財政悪化が懸念される中、必要になるとみられる集落との連絡道路の整備などの予算を調達できるのかも不透明だ。

 北方領土では一般住民が暮らしていない歯舞群島を除く3島のうち、色丹島だけがサハリン本島との空路がない。ただ、本島と3島を往復する貨客船は夏場のピークに月20往復前後も運航し、国後―色丹間はヘリが週3往復するなど、アクセスは改善しつつある。

 通信アプリ「テレグラム」には「また幻のプロジェクトが誕生した。集落間の道路を舗装し、新しい家を建てて欲しい」と、色丹住民の声が早速投稿されている。(本紙取材班)

色丹島・ 穴澗