北方領土の話題と最新事情

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ロシアTV色丹島ルポ 『私たちはここで仕事をして、人生を送る。ここは私たちの島だ。ただ、それだけだ』

https://www.vesti.ru/videos/show/vid/786505/cid/1/#

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北方四島の話題

 vesti7.ru 2019/1/27

日ロの領土交渉で引き渡しが議論を呼んでいる色丹島。ロシアの全国放送のテレビ・ロシア—1の番組「News of the Week」が色丹島ルポを放送した。以下はその概要。

 

●…スタニフラフ・ゴボルキンは1970年代にシコタン島を舞台にロビンソン・クルーソーの映画を作った。しかし、映画で描かれた居住不可能な、かつてのシコタンはもはや存在しない。いま約3000人がシコタンに住んでいる。彼らの物語はサバイバルではなく、島に対する愛着と発展の美しい物語に変わっている。

●…シコタンではどの家庭でも、プーチン大統領安倍総理の首脳会談のニュースを見ていた。ドルゴヴィク一家にはたくさんの日本人の友人がいる。クリルの島では毎年ビザなし交流で隣人の日本人を受け入れている。ゲストはいつも歓迎を受けるが、あくまでも政治抜きである。「私たちの願いはお互いの友情と平和です」と語る。シコタンの人たちは日本人が必ず訪れる墓地を大切にしている。墓石の中にはカタカナでロシア語の名前が刻まれたものがある。ヤーコフ・ストロゾノフ---この人は数世紀前にクリル諸島に住んでいたクリルアイヌの最後の首長である。クリルアイヌは正教とロシア名を受け入れ新しい文化を残そうとした。

●…学校の授業。すべての生徒は歯舞群島という日本語の地名を地図で容易に見つけることができる。しかし、日本語地名が習慣になっている訳ではない。先生は即座に歯舞群島ではなく小クリル諸島と正す。島の生態系は教科書で勉強するものではない。展望台に行けば事足りる。桟橋ではアシカが餌をとっている。

●…シコタンは魚が豊富だ。魚によって人々は生きている。水産加工場は24時間稼働している。スケソウ、カレイ…ここで獲れるタラはロシア全土に移出されている。

●…水産加工場では新しいプラントの建設が進められ、アイスランドから最新の設備機器が導入され、アイスランド人技術者による指導も行われている。彼らにとってシコタンがロシアとの最初の関わりとなった。「ここはとても美しく、涼しい島だ。ここは世界の終わりではない」とアイスランド人は言う。クラボザボツコエ(アナマ)の新しい加工場はこの夏にも稼働する。ここではサバやイワシを処理するが、潜在的な資源量は膨大と考えられている。多くの労働者が必要になる。

●…新工場の建設は隣村のマロクリリスコエ(斜古丹)でも進んでいる。アナマと斜古丹は10キロも離れていないが、人々は2つの新工場が競合することを恐れていない。魚がたくさん獲れるからだ。「シコタンは海に浮かぶ基地のようなものだ。ここは単なる小さな島—ちっぽけな土地ではない。200カイリの経済水域を抱えた、漁業分野の戦略的な地域だ」と、TOR特区プロジェクトマネージャーのミカエル・ザイツェフ氏は強調した。

●…アルバートさんとキャサリンさんは普段別々の地域に住んでいる。そして、彼らはここシコタンで落ち合い再会した。「クリルの引き渡しがニュースで取り上げられるようになった後、私たちは島で一緒に休暇を過ごすことにした」---。3人組の旅行者の1人、ワシリー・コーサルさんは文化会館を訪れた。ワシリーはオペラ歌手だ。「私はこの機会に無料のコンサートを開くことにした。衣装室でちょうど合うジャケットが見つかったから。音響効果の高いホールがあって、レパートリーから曲を選ぶのがとても楽しかった」---。シコタンでの即席公演ではヴェルディチャイコフスキーによるオペラからアリアを披露した。

●…多くの訪問者は島の先進的なインフラ整備に驚いている。たとえば地元の病院。モダンな外観、設備の整った病室、手術室や産科病棟もある。重症患者用の集中治療室さえ備えている。救急患者はこの病院で受け入れている。サハリンまで搬送すると患者の命にかかわる。

●…主な問題は交通手段がないことである。貨客船ファルフトジノフ号は、比較的安定した交通手段として唯一のものだ。クナシリとの間に、はしけやヘリコプターもある。しかし、それらは天候に依存している。船は乗客だけでなく、貨物も運ぶ。地元の商店に並ぶ商品は海上輸送で届く。島民は交通遮断に備えて買いだめをするのが普通だ。価格はちょっと衝撃的だ。パンは38ルーブル、牛乳1リットルが100ルーブル、リンゴ1kgが170ルーブル

●…未解決の問題はまだたくさんある。シコタンには老朽化した危険な住宅がたくさんある。アスファルト道路はどこにもない。しかし、クリル諸島社会経済発展計画は2025年まで続く。過去2年間で74人がシコタンに移住してきた。新しい住民を引きつけるだけ、島の魅力が高まっている。彼らは本土に戻るつもりはない。「まったく問題はない。私たちはここで仕事をして、人生を送る。ここは私たちの島だ。ただ、それだけだ」---と人々は言った。