北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

サハリン—北方四島航路の貨客船「パベル・レオーノフ」修理完了 5月2日に航路復帰

サハリン—北方四島航路で運航している貨客船「パベル・レオーノフ」が予定されていた修理を完了した。5月2日から、コルサコフ(サハリン)-クリリスク(択捉島・紗那)-マロクリリスコエ(色丹島・斜古丹)-コルサコフの航路に復帰する。4月17日13時の時点で、パベル・レオーノフはすでにコルサコフ港に向かっており、運航会社によると22日午前10時頃に到着する予定だ。(astv.ru 2024/4/17)

 

色丹島 千島列島の固有種、幻想的な「カタオカソウ」が開花

色丹島在住のオクサナ・トマソンさんから色丹島の春の象徴である「カタオカソウ」【Pulsatilla taraoi (Makino) Takeda ex Zamels et B.Paegle】の花開を知らせる写真が届いた。オクサナさんは、いつも真っ先に、幻想的な花の写真を送ってくけれている。(Shikotan Telegraph2024/4/17)

カタオカソウは、毛むくじゃらの大きな花がとても美しい植物で、岩の多い斜面に生え、色丹島では最も霧が濃い4月から5月に咲く。この時期、ふわふわした花が小さな水滴で覆われ、とても幻想的だ。数が少なく範囲も狭いため、サハリン州レッドブックに掲載されている。クリル諸島の固有種で、色丹島のほか択捉島、ウルップ島、シムシル島、ブラット・チルポエフ島、チルポイ島、ケトイ島に生育。色丹島では草原のハーブとローズヒップに囲まれた丘の上部に、択捉島では標高1300mのハンノキやシャクナゲの近くで育つ。色丹島を除く小クリル列島(歯舞群島)には記録がない。(クリル自然保護区エレナ・リンニクさんの記事2020/4/27参照)








 

択捉島・瀬石温泉「軍人の子供たちには幼稚園がない」サハリン州議会議員が視察報告

択捉島を視察していたサハリン州議会の議員らが帰島し、州議会の会議でゴリャチエ・クリュチ村(瀬石温泉)の現状を報告して同僚たちを唖然とさせた。同村は主として軍人が住んでいる村。「子どもは200人いるが、幼稚園はない。まあ、正直言ってひどい状況だ。サハリンの他の建設プロジェクトに割り当てられた資金を、幼稚園建設に使うことが出来るはずだ」--視察に参加したアレクサンドル・ボロトニコフ議員は言う。幼稚園だけではなかった。「ゴリヤチ・クリュチへの道はまったく整備されていない。来年度予算に道路の改修を盛り込んでもらうよう財務大臣にお願いする。ゴリャチ・クリュチの人々は主に軍人であるという事実に注目してほしい。彼らのほとんどはウクライナ東部の前線で義務を果たしている」と、アレクサンドル・シャリフリン議員は訴えた。昨年、択捉島では行政府当局が高級ホテル「ヤンキト」へ通じる4kmのアスファルト道路の建設に18億ルーブルを割り当てた。このホテルには部屋が8つしかない。(citysakh.ru 2024/4/16)

 

標津町 北方領土元島民のインタビューをDVDに

北方領土の元島民の思いを幅広い世代に知ってもらおうと標津町は元島民のインタビューなどを収録したDVDを制作しました。標津町が制作したのは平均年齢が88.5歳と高齢化が進む北方領土の元島民の「生の声」を収録したDVDです。DVDは3種類用意され、マスコットキャラクターと元島民が対話する子ども向け、座談会形式でインフルエンサーを起用した高校生・大学生向け、それにインタビューで元島民の思いに迫る大人向けと世代にあわせた工夫が施されています。DVDは3種類で合わせて120枚制作し、町内の学校や北方領土の隣接地域の自治体に4月中に配布するほか、同じ内容の動画を町が運営するユーチューブチャンネルで公開しているということです。祖父が択捉島の島民だったという標津町役場企画政策課の西山一也係長は「DVDを見ることで島に住んでいた人たちが経験した恐ろしさや故郷に戻れない悔しさを知ってもらえたら」と話しています。(NHK北海道 NEWS WEB 2024/4/16)

標津町 北方領土元島民のインタビューをDVDに|NHK 北海道のニュース

 

北方墓参再開を要求 千島連盟根室支部が総会

 【根室】千島歯舞諸島居住者連盟根室支部(会員485人)は、2024年度総会を根室市内の千島会館で開いた。北方領土元島民や後継者ら70人が出席し、本年度の事業として、北方領土墓参の早期再開に向けたロシアとの交渉を国や関係機関に求めていくことなどを決めた。(北海道新聞根室版2024/4/17)

 14日に行われ、本年度は墓参をはじめとするビザなし渡航の早期再開に向けた交渉を国などに働きかけるほか、市民向けの研修会やラジオでの啓発に引き続き取り組む。

 角鹿泰司支部長(歯舞群島勇留島出身)は領土問題を巡る日ロ交渉が中断した現状に「ビザなし交流や自由訪問で築いたロシア人島民との友好や親善、平和条約締結交渉への願いが一瞬にして振り出しに戻った」と述べ「受け継がれてきた返還運動を迷いなく続けていく」と強調した。(大井咲乃)

 

サハリン—択捉島の航空チケット 8月分は4時間で完売 旅行代理店が大量購入

サハリン—択捉島間の8月分の航空チケットが販売開始から4時間で売り切れとなった。8月に友人と択捉島を旅する計画を立てていたサハリン在住のタチアナさん(63)は「ウエブサイトでチケットの販売状況を毎日チェックしていた。「4月10日時点ではまだ航空券は販売されていなかったのに、11日正午にはすでに販売終了となっていた」と不満を漏らした。彼女は旅行代理店が買い占めているのではないかと疑っている。「旅行代理店のツアー料金は3 日間で、最低料金が約 8 万ルーブル。往復航空券が含まれているというが、通常の航空券は往復約14,000ルーブルです。年金受給者はどこからそんなお金を手に入れればよいのでしょう?」と憤慨した。サハリン州政府運輸省は「オーロラ航空は夏季シーズン1日2便に増便している。今年は初日に販売が開始されると、主に旅行代理店によって8,000枚以上のチケットが購入された。追加フライト分は一般販売での在庫が限られている。航空会社はツアーオペレーターに対する制限にも取り組んでいる」と述べた。旅行代理店の代表は「チケット不足の原因は、現在サハリンとクリル諸島(この場合は北方四島)の観光開発が飛躍的に発展していることによるものです。旅行代理店は観光客の流れを飛躍的に増加させています。8 月以前のチケットを購入するのは困難です。7-8月の休暇時期はチケット大量に購入する人が多い」説明した。(sakh.online 2024/4/16)

択捉島ヤースヌイ空港

ウクライナ支援 対ロ制裁継続を明記  2024年版外交青書  外務省公表

 外務省は16日、2024年版外交青書を公表した。ロシアの侵攻が続くウクライナへの支援を続ける方針を堅持し、対ロ制裁を続けると明記。また「ウクライナ侵略と東アジアにおける力による一方的な現状変更の試みは地理的に隔絶された別個の事象ではない」と中国の覇権主義的な動きを念頭に懸念を示しつつ、日中関係で「戦略的互恵関係」の表現を5年ぶりに用い、関係安定を目指す方針を示した。(北海道新聞デジタル2024/4/16)

 青書では、国際的な支援疲れや中東情勢の悪化で、「ウクライナ情勢への関心低下を指摘する向きもある」とした上で、法の支配を守り抜くことが不可欠と強調。「ウクライナに寄り添った支援を行っていくことは待ったなしの課題」とし、生活再建や、経済復興、地雷処理など広範囲で支援を行うとした。

 北方領土問題では前年と同様、「ロシアによる不法占拠」や「日本固有の領土」との表現を使い、中断が続く北方四島交流事業では特に元島民の墓参再開に重点を置く方針を明記した。

 軍事演習など北方四島でのロシアの軍備強化の動きは「日本の立場と反し、受け入れられない」と指摘。ロシアから北朝鮮に対する軍事支援の可能性について「懸念を持って注視している」とした。

 一方で「ロシアの市民社会、特に若い世代との接点を維持する」として、昨年は政府レベルで見送るとしていた日ロ間の文化・人的交流については「適切な範囲」で実施していく方針を明記した。

 対中国では、昨年11月の日中首脳会談で、共通の利益に向けて協力する戦略的互恵関係の推進を再確認したと説明。日本として主張すべきは主張しつつも、対話を重ね「建設的かつ安定的」な2国間関係構築を目指す方針を打ち出した。

 今月、岸田文雄首相が国賓待遇で訪問した米国との関係では、両首脳・外相間の深い信頼関係の下、日米同盟はかつてなく強固になっていると強調。24年は米大統領選など世界各地で重要な選挙な選挙が予定され、「国際情勢は重要な局面を迎える」と指摘した。

 外交青書は前年1~12月の日本外交や国際情勢の記録。外務省のホームページでも公開される。(今井裕紀)