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「鮭の聖地」観光資源に フォーラムで活用の在り方探る【根室】

 根室海峡沿岸地域の自然環境や生態系の形成に深く関わっている「サケ」。4日に市総合文化会館で開かれた日本遺産「鮭(さけ)の聖地フォーラムin根室」は、認定後コロナ禍にあって地域住民への周知や観光要素としての発信が難しかったことから、今後の活用の在り方を探る機会として開催した。(釧路新聞2023/6/5)

 日本遺産「鮭の聖地」の物語~根室海峡一万年の道程~は、アイヌ民族の伝承に由来するもので、2020年に中標津町を除く根室管内1市3町に根付く歴史や自然、文化財を結ぶ物語として認定された。

 フォーラムには、根室管内日本遺産推進協議会鮭の聖地メナシネットワーク事務局の総括事務局長で標津町教育委員会の小野哲也生涯学習課長、地域理事の齋藤学標津町商工観光課係長、根室市教育委員会の猪熊樹人学芸主査が講演。

 小野総括事務局長は「サケは縄文から近代まで1万年もの間、人だけでなく餌などとして陸海空の動物や植物を支えてきた」と地域との関わりを解説。

 齋藤地域理事は2021年に根室管内で行った観光動向調査結果を紹介。日本遺産の認知度は低かったものの、「5回以上の来訪経験を持つディープなファンが、初めて訪れた方(33・4%)と、ほぼ同じ32・4%を数えた」と述べ、鮭の聖地の物語を構成する「歴史・文化は観光資源になり得る」と訴えた。

 猪熊地域理事は「港から始まる根室の歴史文化について」と題し、サケの漁獲が落ち込んだ明治後期、「経営の多角化など水産業はダイナミックに変化した」と紹介した。

 同市観光協会の寺田裕一事務局長、市民観光ガイド・ねむろトコロジストの会の船山岩雄会長を加えたパネルディスカッションで、小野総括事務局長は「この3年間は仕組み作りだった。これからは壮大なストーリーをどう伝えるか、体験や食を消費行動につなげることも重要。そして地元に普及させるためにも、地元の中高生に発信する方法も考えたい」と述べていた。