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北方領土啓発、電子看板用の映像完成 根室振興局 クイズや写真活用、小中学校などで展示

 根室振興局は、根室管内の高校生の意見を反映した北方領土啓発のデジタルサイネージ電子看板)用の映像を完成させた。約4分の作品を3コーナーに分け、クイズ形式でロシア文化を解説したり、四島の自然を写真で紹介したりと工夫し「知ることから始めよう 北方領土」と呼びかける。交流サイト(SNS)では短い動画の方が関心を集めるという高校生の指摘から、長さは1コーナー当たり1分~1分半程度。啓発イベントや根室管内の小中学校などで展示する。(北海道新聞根室版2023/3/9)

 高校生が主体的に領土問題に関わることで、返還運動の次代の担い手を育てる振興局の取り組み「プロジェクトN」の一環。根室管内6高校の計14人が、昨年12月から意見交換を重ねて作り上げた。

 作品は、ロシアの文化、北方領土の地域性、四島の自然に分けて紹介。ロシアの文化は北方領土を舞台にしたアニメ映画を取り上げた。北方領土の地域性はイラストや文字をふんだんに取り入れて景勝地を、四島の自然はエトピリカなど希少な動物を紹介している。

 若年層に興味を持ってもらえるよう領土問題の歴史的経緯にあまり触れず、文化や動植物を通して関心を持ってもらうことを重視した。

 動画配信サイト「ユーチューブ」のチャンネル「北海道北方領土対策本部」でも公開している。今後、春には管内の高校を巡回してデジタルサイネージで啓発するほか、札幌で夏の啓発にも活用。秋には、効果的な活用方法などについて再び高校生と協議する。

 根室振興局によると、参加した高校生からは「北方領土と北海道は全く違うところだと思っていたが、共通点が多くあって驚いた」「他校の生徒と北方領土について話せてよかった」などの声が上がっていた。国後島元島民3世で振興局北方領土対策室の山本里乃さんは「高校生が積極的に参加したいと思える啓発事業を今後も展開してきたい」と話した。(川口大地)