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択捉島に残る松前藩士の墓 厚岸・国泰寺の僧侶が供養  

 北海道博物館は4日、羅臼町郷土資料館で、公開講座「未来につなぐ北方四島の歴史・文化」を開いた=写真=。江戸時代後期に択捉島松前藩士の墓に、厚岸町の寺院の僧侶が法要に墓参していたことが報告され、講演した北海道博物館の東俊佑学芸員は「江戸時代の墓北方四島に残っており、墓参は領土問題を考えるために重要だ」と強調した。

 松前藩士は19世紀前半、帝政ロシアに備えて国後島択捉島で警備にあたっていた。近世史が専門の東学芸員によると、2017年のビザなし交流に参加した日本人が、漢字で記された日本人とみられる墓の写真をロシア側から渡されたといいう。

 調査したところ、択捉島で見つかった藩士のものとみられる墓は6基。中には、同島警備の最高責任者で1826年に死去したとされる明石季賢の名前が記された墓石もあった。また、江戸幕府が1804年に厚岸町に建立した国泰寺の僧侶が、島で死亡した藩士のために供養していたことも、住職の日誌「日鑑記」などから判明したという。

 また、同博物館の元研究部長の右代啓視学芸員は「4島は、江戸、明治、昭和の建造物が、時間が止まったかのように残されており、島全体が歴史文化遺産だ」と語り、現地調査の必要性を訴えた。(読売新聞北海道2023/3/9)