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択捉島の記憶、アニメ風動画に 千島連盟根室支部が7日公開 主人公・長谷川さん「戻りたい」

 北方領土元島民の体験や島への思いを描いた漫画に音声を付けたアニメ風の動画が「北方領土の日」の7日、動画サイト「ユーチューブ」で公開される。若い世代に北方領土問題を広く知ってもらう目的で、千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)根室支部が昨年に続いて企画。作品の主人公となった択捉島出身の長谷川ヨイさん(91)は「元島民が減る中、私たちの記憶が形に残るのはいいことだ」と話す。(北海道新聞根室版2023/2/4)

旧ソ連軍将校妻との交流、豊かな自然…

 作品は長谷川さんを主人公に、市内のイラストレーター大内さゆりさん(32)が執筆した。大内さんは、計約3時間にわたり長谷川さんを取材。中でも、旧ソ連軍の占領下に長谷川さんが将校の妻との間で親交を深め、ロシア語を覚えたり、家に泊まりに行って遊んだりした話が印象に残ったという。大内さんは「国や人種が違っても絆が生まれると感じてもらいたい」と、日本人とソ連人の間に生まれた友情を描くことに力を入れた。自然豊かな島の様子や、現在の望郷の思いも盛り込んだ。

 漫画はフルカラーで、大内さんが朗読し、約8分間のアニメ風の動画に仕上げた。1日のお披露目会で初めて動画を見た長谷川さんは「将校の奥さんとの交流を思い出した。あの時に戻りたいね」と懐かしんだ。大内さんは「島を奪われた悲劇がある一方で、楽しかった思い出もある。どちらも現実に起きたことだと伝えたい」と話した。

 動画は7日、ユーチューブの千島連盟根室支部の後継者組織「かけはしの会」のチャンネルで公開する。(武藤里美)