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元島民の権利3、4世にも 国後島元島民2世 野潟龍彦さん(71)=根室市<四島よ私たちの願い 日ロ交渉停止>26

 後継者も安心して返還運動に打ち込めるようにするためにも、元島民への融資制度の拡大を要望しよう」。昨年10月、元島民らによる千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)の会合で、国後島元島民2世の野潟龍彦さん(71)は訴えた。(北海道新聞根室版2023/1/28)

 北方領土問題対策協会による低利融資制度は原則として元島民が対象。2、3世への権利の継承は、元島民支援など一定の要件を満たした上で一世代1回に限るなどの条件があり、後継者の利用には壁がある。

 野潟さんの訴えは、3、4世でも千島連盟に加入するなど返還運動に積極的な人は元島民と同様の権利を継承できるよう求めるものだ。「後継者だから北方領土返還運動に参加するのは当たり前という考えは、若い世代には当てはまらない。支援対象を広げ、仲間を増やしていかなくては」

 母のキノさんが国後島古釜布出身。1992年にビザなし交流で訪れた島では島に眠る祖母の墓地を見つけることができず、がくぜんとした。30代後半から千島連盟の活動に力を入れ、2001年には千島連盟根室支部青年部(現・かけはしの会)の初代部長に。根室管内の後継者の連携などに力を入れた。

 元島民1世が平均年齢87歳を越え活発な活動が難しくなる中、後継者に思いを伝えていくための基盤づくりに思いをはせる。

 ウクライナ侵攻後、ロシアがビザなし渡航などを打ち切った今、返還運動は国内の運動の維持と拡大が課題。「後継者が少しでも運動に参加しやすい環境をつくっていきたい」と語る。(松本創一)