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陸揚庫保存に3案 国後島と根室をつないだ海底ケーブルの陸揚げ施設

 終戦直後まで北方領土国後島根室をつないでいた通信用海底ケーブルの陸揚げ施設「根室国後間海底電信線陸揚(りくあげ)施設」(通称・陸揚庫)の調査報告会が21日、北海道根室市の道立北方四島交流センターで行われ、市は保存に向けて三つの案を示した。(毎日新聞北海道版2023/1/22)

 陸揚庫はモルタルや鉄筋の腐食などが著しいことが判明。市は、薬剤やコンクリートの改質材を塗って補修する「現状維持保存」(概算費用700万円)▽創建時または旧ソ連侵攻時の姿に修復する「補修復原」(同2000万円)▽全体を特殊ガラスで覆い、展示施設などを併設する「覆い屋設置保存」(同2億~3億円)――の3案を提示した。

 報告会後のシンポジウムでは、歯舞群島・勇留(ゆり)島出身の角鹿泰司(つのかやすじ)さん(85)が保存費用について「歴史的資産であることを知らせるため、根室市が負担するのではなく、国民の税金で賄ってほしい」と語った。

 陸揚庫については、1929年に建設された道内最古の鉄筋コンクリート製の陸揚げ施設であることが市の調査で判明。2021年に国登録有形文化財になった際は「1935年ごろ」とされており、建築年が6年ほど繰り上がった形だ。北海道大学付属図書館が所蔵する札幌逓信局工務課発行の「工務時報」を調べたところ、31年発行の記事の中に「一昨年九月改築された根室ハッタラ陸揚室」との記述があったという。【本間浩昭】