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根室「陸揚庫」保存、市が3案提示

 終戦直後まで根室北方領土国後島をつないだ海底電信線の中継施設で、国登録有形文化財の「陸揚(りくあげ)庫」の保存に向けて、根室市は20日、市の専門家会議で特殊なガラスなど透明な建築物(覆屋)で囲う案など3案を提示した。市は新年度にもいずれの案を採用するかを決定し、保存と活用に向けた動きを本格化させる方針。(北海道新聞2023/1/20)

 市が提示したのは覆屋で囲う案のほか、薬剤などで現状を維持して保存する案と、補修して復元する案の3案。

 会議では、市から委託を受けた設計会社が、陸揚庫建物の強度やコンクリートの劣化度調査、モルタルなどの劣化が激しいことを踏まえて「早急な補強が必要」と報告。専門家らは3案の利点や課題などを議論した。年度内に各案について一定の意見をまとめる見通し。

 市はまた、従来1935年(昭和10年)ごろとされてきた陸揚庫の建築年について、文献調査の結果、29年(昭和4年)とみられると報告した。

 陸揚庫は鉄筋コンクリート造平屋建てで床面積約20平方メートル。通信線は、床の開口部から38キロ先の国後島南部、さらに択捉島最北部まで500キロ以上をつなぎ、旧ソ連軍の北方領土侵攻を伝える際にも使われた。2021年に北方領土関連の建造物として初めて国の登録有形文化財になった。(武藤里美)