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2022年ロシアのスケトウダラすり身生産 2万8,000トンを見込む 米国減産は日本市場参入への好機

今年2022年、ロシア漁業は高次加工化戦略により、カニカマ原料となるスケトウダラの冷凍すり身生産が、前年2021年の3倍-4倍となる進捗となっている。今年2022年11月中旬までに、前年2021年同期の6,000トンの4倍となる2万4,000トンのスケトウダラの冷凍すり身が生産されており、この内1万4,000トンが洋上生産となっている。前年2021年の当該製品の生産量は最終的に8,000トンだったが、今年2022年は最大で2万8,000トンに達する見込みとなっている。昨年2021年、ロシア漁業最大手”ルスカヤ・ルイボァプロムシェレンナヤ・カンパニヤ “(Русская рыбопромышленная компания「ロシア漁業会社」)所属スーパー・トロール漁船“ウラヂミル・リマノフ”(Владимир Лиманов)が洋上すり身を、また、サハリン州水産グループ“ギドロストロイ”(Гидрострой)社傘下の色丹島“クラボァザヴォドスク”(Крабозаводск)工場が陸上すり身の生産を開始した。“ギドロストロイ”は、陸上ばかりでなく、トロール漁船“アレクサンドル・コサレフ”(Александр Косарев)と“パヴェル・クタホフ”(Павел Кутахов)の船内に生産ラインを改装設置し、洋上すり身の生産も開始している。更に、最近では2022年10月、「ロシア漁業会社」)所属スーパー・トロール漁船シリーズの“カピタン・ヴドヴィチェンコ”(Капитан Вдовиченко*写真)が北クリール海域で試験操業を開始している。ロシア漁業は、日本市場をめぐり、米国と競争する必要があると指摘している。現在の2万8,000トンの生産量は、国内練り製品メーカへの需要を満たすばかりでなく、余剰を海外に輸出するのに十分であり、加えて、今後3年で生産量は5万トンに達する可能性があることから輸出戦略が求められている。ロシア漁業にとって、ここ数年の米国の減産傾向は、日本市場への参入の好機であり、この促進の必要性が指摘されている。専門家は、現在、日本市場が、ドルに対する円の下落の影響を受け、製品価格が上昇し消費が減退しているが、マーケティング戦略によりこれを再拡張できると分析している。(ロシア漁業ニュースヘッドライン2022/12/21)

ギドロストロイの色丹島・穴澗工場