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行進の担い手絶やさぬ 色丹島出身の元島民・荒井祥子さん(77)=根室市<四島よ私たちの願い 日ロ交渉停止>23

 1日に東京都内で実施された「北方領土返還要求中央アピール行動」に初めて参加した色丹島出身の荒井祥子さん(77)。「参加を断念した人の分まで頑張ろう」。約500人が参加した銀座周辺1・6キロのデモ行進で、小旗片手に「北方領土を返せ」と大声で訴えながら、そう思った。(北海道新聞根室版2022/12/21)

 元島民の平均年齢は87歳。新型コロナウイルス対策でデモ行進は3年ぶりとなり、体調を崩すなどして参加できなくなった元島民は前回に比べ増えている。荒井さんは「まだ動ける人が積極的に活動していかなければ、運動の担い手がいなくなってしまう」との思いから初めての参加を決めたという。

 行進の様子は銀座の街で注目を集め、多くの通行人からスマートフォンなどで写真に撮られた。「領土問題に注目してもらうという最大の狙いは果たせた」と思う一方、奇異な目を向けられているとも感じた。「全国的な関心はまだ低い。大がかりな集まりだけでなく、もっと普段の地道な啓発にも注力するべきだ」

 終戦の年に生まれ、島で過ごした記憶はない。それでも自由訪問やビザなし交流などで計10回以上島を訪問。古里への思いは強い。

 デモ行進に市内から参加した元島民の中では自身が一番の若手。行進で年上の元島民たちの力強い足取りに背中を押され、体力が続く限りデモ行進に参加し続けたいと考えるようになった。

 「自分の歩く姿も若い元島民2世、3世の運動参加のきっかけになればうれしい」(川口大地)