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色丹島 イワシを追う、トロール漁船「ジネトン」の一日

「ジネトン」はトロール漁船の名前だ。珍しい船名に、一体どんな意味かと、乗組員は由来を調べる。デンマークあたりの北欧神話に登場する英雄の名前らしい。色丹島クラボザボツコエ湾(穴澗湾)に工場を置くギドロストロイグループのクリリスキー・ルイバク・クラボザボツコエ支店に所属するトロール漁船ジネトンは、絵のように美しい湾を出港した。夏の終わりから冬にかけて、択捉島から色丹島の太平洋側でイワシやサバを獲る。(サハリン・インフォ2022/11/8)

12人の乗組員はクラスノダール地方からサハリンまで、さまざまな地域から来ている。ほぼ半年間、寝食を共にすることで、本当の家族になる。彼らは一緒に働き、一緒に休む。この船には余暇のために図書室も備えている。自由時間には数独を解いていたり、本を読んだり、ソファで横になってアクション映画を見る乗組員もいる。

船内の食事はバラエティに富んでおり、信じられないほど美味しい。新鮮な空気と、長年乗組員の栄養管理を行ってきた専門シェフがいるためだろう。彼は、特別なレシピに従って新鮮な魚を調理する。食卓にはいつも豊富なサラダやフレッシュコンポート、フルーツ、スイーツが並ぶ。乗組員全員が細身で締まっているのはこのためだろうか。

船内にビープ音が鳴った。2回鳴ると、それは仕事の呼び出し合図だ。それぞれが自分の役割を正確に理解し、チームとして機能していることが明らかになる。トロール網による漁獲のプロセスは自動化されているが、各段階で人間の制御が必要だ。トロール網の長さは船ごとに異なる。ジネトンでは500mある。20年以上のキャリアを持つセルゲイ・シンヤフスキー船長は「船の底にはソナーがあり、魚の群れがどこに向かっているかを判断する。イワシはじっとしていないし、デリケートな魚。いち早く漁獲し、港に持ち帰ることが重要になる」という。1回の出漁で300トンを漁獲する。

ブリッジのモニターでは、17~18時間かかることもある漁獲の過程を見ることができる。トロール網をいつ引き上げるか、そのタイミングは運と船長の経験がものをいう。船員は魚を獲るための装置を操作するコツを学ぶこができるが、運と経験は特別な教育機関でも教えられない。

夏の終わりから冬にかけてジネトンは、択捉島から色丹島の太平洋側でイワシやサバを獲る。規定にると、混獲が認められるのは総漁獲量の20%だ。捕獲された魚は、金属パイプを通って特別なタンクに送られ、船が港に到着するまで保管される。もう1つの重要なプロセスは、魚の冷凍。イワシの平均的な大きさを知るために必要で、データはすぐに工場に送信される。釣った後、100匹の魚を一列に並べる。良いサイズのイワシは長さ20cmほど。

ジネトンの船倉の総容量は 700 トンあるが、イワシの場合、船倉の最適容量は350~400 トン。特定の保管条件があり、これによって港に到着するまで魚を完璧な状態に保つことができる。