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「反戦訴える映画に」 ドキュメンタリー「NEMURO」コズロフ監督、市役所訪問

 北方領土国後島ドキュメンタリー映画「NEMURO」の撮影を根室管内で始めた映画監督ウラジーミル・コズロフ氏が29日、根室市役所を訪れ、「北方領土から強制送還された元島民の証言は興味深かった。反戦を訴える映画にしたい」と決意を語った。(北海道新聞根室版2022/9/30)

 コズロフ氏はベラルーシ出身で、フランス在住。15~30日の日程で根室管内に滞在し、羅臼町での洋上慰霊の様子や計10人ほどの元島民や後継者へのインタビューなどを撮影した。

 今回の映画は前作「クナシリ」の続編。コズロフ氏は石垣雅敏市長と対面し、撮影で故郷の思い出を語る元島民の姿が印象に残ったと説明。「皆さん年齢を重ねているが、語り始めると若いころに戻ったような表情をしていた。撮影した映像はしっかり見直し、彼らの歴史や運命を考えたい」と話した。

 その後千島会館で行った記者会見では、ロシアのウクライナ侵攻によりビザなし交流が停止していることに言及。「国後島のロシア人島民から『私の生活に根室が足りない。日本の友人に会えないのがつらい』と手紙が来た。元島民だけではなく、ロシア人も苦悩している」と述べた。

 コズロフ氏は2024年の作品完成を目指し、来年には2回程度根室管内で撮影する予定。(武藤里美)