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元島民「せめて墓参を」 根室初訪問の岡田北方相に切望

 就任後初めて根室市内を訪れた岡田直樹沖縄北方担当相は28日、本土最東端の納沙布岬を訪れた後、市内で元島民や関係団体との意見交換会に臨んだ。ロシアのウクライナ侵攻で北方領土へのビザなし渡航が停止する中、元島民らは「せめて墓参りをしたい」と切望した。(北海道新聞釧路根室版2022/9/29)

 岡田氏は午前中、納沙布岬を訪問。歯舞群島の島々や貝殻島周辺で操業中のコンブ漁船を眺めた。出迎えた元島民らから「墓参、自由訪問のことを頼みます。元島民は待っています」と声を掛けられると、「頑張ります」と答えた。

 その後、道立北方四島交流センターで元島民らとの意見交換会に出席した。元島民からは「ロシア側は墓参の破棄には触れていない。ウクライナ問題とは切り離し、墓参だけでも一日も早く実現できるよう交渉に全力を尽くしてほしい」(国後島出身の古林貞夫さん)など墓参の再開を望む意見が次々に寄せられた。

 元島民が高齢化する中、若年層への領土問題啓発の強化や、管内経済への支援を求める声もあった。

 岡田氏はウクライナ情勢を理由に墓参の早期再開を否定したものの、「(ビザなし渡航は)再開できる状況が整えば日ロ間の最優先の課題になる」と応じた。

 岡田氏は同日、東京に戻った。(武藤里美)