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「心の痛みが少しでも取れるよう祈る」国後で遺体を発見したロシアの自然保護官

 オホーツク管内斜里町知床半島沖で小型観光船「カズワン」が沈没した事故で、北方領土国後島で男女の遺体を見つけたロシアの自然保護官のドミトリー・ソコフさん(54)が北海道新聞の電話取材に答えた。遺体発見から日本への引き渡しまでに約4カ月かかったことに驚き、長く待った遺族に対して「心の痛みが少しでも取れることを祈っている」と心境をおもんぱかった。(北海道新聞2022/9/11)

 ソコフさんは5月6日、フクロウの巣の調査中に国後島中部のラグンノエ湖(二木城湖)から北に約8キロの海岸で女性の遺体を、18日にはさらに北に約3キロ離れたイリインスコエ湖(ヤンベツ湖)近くの海岸で男性の遺体をそれぞれ発見、通報した。「もっと早く日本に引き渡すと思っていた。遺族の気持ちが心配だが引き渡せたことは本当に良かった」と安心した。

 「島で遺体が見つかる可能性はもう低いだろう」としつつ、今も自然保護官として海岸線を調査しながら注意深く観察しているという。「日本とロシアの難しい状況は理解しているが、人道問題の協力は政治とは関係ない」とも語った。(渡辺玲男)