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ロシア“北極海航路総局”(ГУСМП)を国家予算で復活させる

 ロシア首相ミシュスチンは、“北極海航路総局”(Главное управление Северного морского пути,ГУСМП:グラヴノエ・ウプラヴレニエ・セヴェルノガ・モルスコガ・プチ:GUSMP)を、国家予算で復活(ロシア国家にとっては創設)させる命令に署名した。(ロシア漁業ニュースホットライン2022/8/5)

 受け皿母体は、現在、国家支援事業で北極海航路輸送プロジェクトを担い所属原子力コンテナ商船*“セヴモルプチ”(Севморпуть)を運航するアトムフロート“(Атомфлот)の親会社、国営原子力企業”ロスアトム“(Росатом)となる。

 カムチャツカ地方は、特別に、生産力の大きい同地方で生産された太平洋サケマスのロシア西部・中央部への輸送について北極海航路の定期便化に強い関心を示している。近年、同地方の製品の西部・中央部への輸送は、沿海地方を通じ、主に鉄道で行われているが、ウラヂオストクの冷凍冷蔵庫不足等により物流が滞ることが指摘されている。

 カムチャツカ地方にとって太平洋サケマス漁期の物流問題は重要で、ペトロパブロフスクカムチャツキーからサンクトペテルブルグまでの北極海航路輸送は鉄道輸送の1/2の所要時間であり、期待が寄せられている。

セヴモルプチ(Севморпуть)

1988年(ソ連時代)に建造されたKLT(КЛТ)-40タイプ原子力発電所を備えた砕氷輸送船。全長260メートル。原子力発電所で建造された非軍事商船4隻の中で最大。北海航路にちなんで名付けられ、プロジェクト10081唯一の船舶。コンテナで製品を北部の遠隔地に輸送することを目的としており、厚さ1メートルまでの氷を粉砕して航行可能。2019年現在、原子力発電所を備えた唯一の運航貨物船。