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択捉島、国後島、ウルップ島を調査「東の要塞—クリル諸島」ロシア地理学会と国防省 

ロシア地理学会とロシア国防省は「東の要塞--クリル諸島(北方四島を含む千島列島)」と銘打った総合的な調査活動の3回目としてウルップ島、択捉島国後島の詳細な自然科学調査を開始した。国内22地域から地質学者や生物学者など各分野の専門家が参加。「東の要塞--クリル諸島」は2019年からスタートし、2025年までの6年間にわたり実施予定。これまでの調査では、択捉島では珍しい日本軍の95式戦車を発見したほか、ウルップ島で1.2トンの巨大なマッコウクジラの頭蓋骨を見つけた。3回目の調査では、択捉島に9つ、国後島に4つ、ウルップ島に1つある火山を対象に、土壌や島の起伏、鉱物資源などを調べるほか、本土から隔離された未知のウルップ島では海洋・陸生の動植物を調査する。また、考古学者らは、第二次大戦で使用された大砲やトーチカ、塹壕、捕虜収容施設などの発掘調査を行う。日本からわずか20kmの距離にあり、今回の遠征で初めて調査対象となった国後島では火山活動や地震の研究を行い、調査結果は今後のインフラ整備に活用される。地理学会は「アクセスが難しく神秘的なクリル諸島は科学者にとって知識の宝庫だ。カムチャツカ半島と日本列島をつなぐ56の島々が連なるクリル諸島は、ロシアにとっては太平洋への出口でもある。約30年の間、クリル諸島を調査研究した人は誰もいなかった」と話している。(サハリン・メディア2022/7/31)

2019年の択捉島調査で発見された日本軍の大砲