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北見市とサハリンの友好都市50年記念事業困難 軍事侵攻後メールに返信なし

 北見市は今年、ロシア・サハリン州ポロナイスク市との友好都市提携50周年を迎え、7月中旬に記念事業を予定していた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、同市と連絡がついておらず、事業開催は困難な状況だ。(北海道新聞北見オホーツク版2022/6/30)

 ポロナイスク市はサハリン中部に位置し、日本統治時代は「敷香(しすか)」と呼ばれ、昭和の大横綱大鵬(2013年死去)が生まれた街でもある。北見市とは1972年、「同じ北方圏に住む隣人同士」として友好都市提携し、1年おきに相互訪問を続けてきた。ここ2年間は新型コロナウイルスで中断していたが、今年7月にポロナイスクの訪問団を北見に招き、交流半世紀の節目を祝うはずだった。市は本年度予算に事業費約380万円を計上している。

 ロシアは2月24日にウクライナへの侵攻を始め、その後、対ロ制裁を発動した日本を「非友好国」に指定。北見市は「記念事業の開催は難しい」と受け止め、5月までにポロナイスク市と協議して開催の可否を最終判断する予定だった。しかし、侵攻後はメールを送っても返信がなく、30日正午現在、連絡がつかない状態が続いている。相手とやりとりできない以上、正式な中止や延期の決定もできずにいるという。

 北見市や、コルサコフ市と姉妹都市紋別市など、サハリン州の各都市と交流してきた道内の自治体は、7月中にオンラインで会議を開き、現状や今後の対応について情報交換する予定。

 北見市市民活動課は「現地の状況が分からない。50年間の友好関係を壊さないよう慎重に対応したい」としている。(先川ひとみ)

ポロナイスク市と連絡がつかない中、北見市役所2階には同市からの寄贈品が変わらず展示されている