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国後島の地元紙、乗客親族から情報提供求める手紙…記事を掲載

5月7日、国後島北部で、遭難した日本の観光船「KAZU 1」の乗客とみられる女性の遺体が発見された。女性の遺族(※行方不明になっている乗客の家族)は、国後島にある南クリル地区の新聞「国境にて」の編集局にメールを送った。「国後島から提供された衣服の写真からすると、これは若い日本の女性だと思います。彼女の誕生日に、帯広在住の男性が知床半島を周遊する観光船に一緒に乗りました。その日、彼は彼女にプロポーズするつもりだったのです。しかし、運命は…」と書かれていた。彼の遺体は北海道沖ですでに発見されている。乗客26人のうち12人がまだ行方不明のままである。ロシア連邦捜査委員会クリル地区調査部は、この緊急的な事態の調査を行っている。(astv.ru 2022/5/19)

国後島の地元紙、乗客親族から情報提供求める手紙…記事を掲載

(読売新聞2022/05/20)

 北海道・知床半島沖で観光船が沈没した事故をめぐり、女性の遺体が見つかった北方領土国後島の地元紙が、乗客の親族から情報提供を求める手紙を受け取ったとする記事を掲載した。

 このロシア語の地元紙は「ナ・ルベジェ(境界で)」で、北方領土を管轄するロシア・サハリン州南クリル地区行政府が発行する。

 18日付の記事で、「被害に遭った乗客の親族が地元紙の編集部に何らかの情報を期待して(手紙を)書いてきた」と説明。「国後島から受け取った写真の服装からすると、若い日本人女性だと推測している」などと記されていたという。

 同紙編集部は読売新聞の取材に対し、手紙の差出人や日付について「答えない」と回答した。

 4月23日に起きた事故では14人が死亡、12人が行方不明のままだ。5月6日に国後島で女性の遺体が発見され、10日にロシア側から海上保安庁に連絡があった。身元判明につながる所持品は見つかっていないという。日本政府は乗客の可能性があるとして、ロシア政府に情報提供を求めている。

国後の地元紙へ乗客親族がメール 島で発見の遺体、身元確認続く

(北海道新聞2022/5/20)

 オホーツク管内斜里町知床半島沖で観光船「カズワン」が沈没した事故を巡り、ロシアが実効支配する北方領土国後島西岸で女性の遺体が見つかってから20日で2週間。遺体は同島で保管されているが、依然として身元が確認できず、日本政府と調整が続いている。島の地元紙は18日付で、乗客の親族から情報提供を求めるメールが届いたと報じた。

 島民によると、女性の遺体は、同島古釜布(ユジノクリーリスク)の男性が6日、家族と一緒に海岸を散歩中に発見。現在は古釜布の病院の遺体安置所で保管されている。遺体を発見した男性は、日本本土の知人に遺体の写真を送り、乗客の親族に届いたという。

 国後島の地元紙「国境にて」は18日、親族から同紙にメールが届き、「国後島から届いた写真の服装から、若い日本人女性と思われる」などと書かれていたと報道。同紙の関係者は19日、北海道新聞の取材に「亡くなった乗客の親族に大きな同情を寄せているが、メールの差出人は明らかにしない」と答えた。

 ロシアの捜査当局は同島で失踪者の届け出がないことから、10日に日本側に連絡。身元判明につながる所持品はなく、ベージュ色のブラウス、黒い木綿のトップス、青色のジーンズを着用していた。

 日ロ外交筋によると、ロシア側は身元特定に向けDNA鑑定を行う方針で、日本側に協力を要請し調整が続いている。ロシアのウクライナ侵攻で日ロ関係は悪化しているが、現場の当局間では「特段もめていない」という。(渡辺玲男)