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ウクライナ侵攻、小樽の対ロシア貿易不安 タイヤ輸出停滞、水産物は高騰懸念

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアと貿易を行う小樽市内の企業で影響が出始めている。自動車販売会社ではロシアの通貨ルーブルの急落を受け、タイヤ輸出が滞っているほか、商品の受注が9割近く減った会社もある。ロシア産のカニやサケを扱う小売店は、経済制裁による輸入品の減少や価格高騰を懸念している。(北海道新聞小樽後志版2022/3/3)

 自動車販売店小樽運河オート」(有幌町)はトラックなどの新品タイヤ約200本を小樽港からロシアへ輸出する予定だったが、ウクライナ侵攻により船の到着が3日から今月中旬に延期された。輸出船は複数のロシア企業が買い付けのため乗り込むが、ルーブル安により日本での買い付けを諦める企業が続出したためという。

 船が遅れたことで、同社はタイヤを保管する倉庫を市内で借りなければならなくなる。藤井康社長(51)は「無駄な出費になるうえ、そもそも船が本当に3月中旬に来るかどうかも分からない。こんなことは初めてだ」と困惑する。国際的な決済ネットワーク「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアの一部銀行が排除される見通しとなり、同社はロシア企業への送金がすでにできなくなったという。

 市産業港湾部によると、2020年の小樽港におけるロシアへの輸出量は7万4421トン。完成自動車が9割以上を占め、他にはゴム製品や自動車部品、金属製品、飲料などがある。ロシアと貿易を行う別の市内事業者はここ数日、ロシアからの商品受注量が例年の1割程度に落ち込んだ。担当者は「ルーブル急落でロシア側が買い付けのタイミングを見極めているのでは。ウクライナ侵攻が早く終結してほしい」と話す。

 一方、ロシアからの小樽港への輸入量は5860トンで水産品が大半を占める。市内の水産業者の間では今後、送金停止などで輸入量が減少し、販売価格の高騰を懸念する声も聞かれる。

 新南樽市場(築港)の「本間水産」の本間裕二社長(75)はロシアへの経済制裁がきっかけで、同国からのベニザケやタラバガニなどの輸入量が絞られる可能性が高いと指摘。既にロシア産のウニの値段などが上がり始めているといい、本間社長は「この状態が続けば相当値段が上がるはず。消費者の買い控えが起きかねない」と気をもんでいる。(日野夏美、鈴木孝典)

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