北方領土の話題と最新事情

北方領土の今を伝えるニュースや島の最新事情などを紹介しています。

ロシアEEZ沖獲り太平洋サケマス漁獲割当オークションが取りやめとなる

 ロシア漁業庁長官イリヤシェスタコフは、ロシア極東排他的経済水域EEZ)沖獲り太平洋サケマス漁獲割当オークションを取りやめとする2021年11月23日付命令No.709に署名した。(ロシア漁業ニュースヘッドライン2021/11/26)

 ロシア漁業庁は、先に、ロシアEEZにおける太平洋サケマス沖獲り向け漁獲割当オークションを、2021年11月と12月、2クールに分けて開催すると発表、上場については、6海域5魚種、計103ロットで、全体のTAC設定の約5割、落札による漁獲割当配分の権利を2033年(2022年から12年間)までとしていた。

 ロシアでは、2016年以降、太平洋サケマスの漁獲を目的とするEEZ、領海、内水面での流し網の使用は禁止されており、この効率的代替漁具・漁法問題は未解決で、過去から関連する日本業界にとっても今後の動向が注目されるところとなった。

 一方、オークション実施の情報に接し、徹底的に流し網反対のキャンペーンを行ってきたカムチャツカ地方は、流し網(沖獲り)の復活を危惧し、開催に懸念を表明していた。

 ロシア上院の農業・食料政策と環境に関する委員会では、カムチャツカ地方選出上院議員、定置網漁業者で、流し網禁止キャンペーンの急先鋒だったボリス・ネフゾロフら同地方代表者が開催の中止を求めた。

 ネフゾロフは、当該漁獲割当配分が流し網漁業復活の基礎になる可能性があると語り、オークションで上場ロットが落札された時、国家はそれを認めることを余儀なくされると加えた。

 これに対し、委員会に出席したロシア漁業庁副長官ワシリー・ソコロフは、流し網の使用禁止は法律で規定さており、立法機関がこれを見逃す可能性は極めて低いと語り、一方で、評価のある資源の漁獲割当を配分しない場合、会計監査当局の追及を受けることになると言及、オークションの応札者の全ては、法的禁止を認識していると想定され、これを無視して流し網を使用、復活を求めることは、考えにくい旨を加えていた。

f:id:moto-tomin2sei:20211129092849j:plain