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岸田首相発言に北方四島2人の市長「過去に身をゆだね、新しい協力の在り方に目を向けてない」

 択捉島を管轄するクリル地区のヴァディム・ロコトフ市長と国後島色丹島歯舞群島を管轄する南クリル地区のパベル・ゴミレフスキー市長は、日本の主権は四島に及ぶと発言した岸田首相の発言をまともに受けとめていないと強調し、「過去に身を任せ、新しい協力の在り方に目を向けていない」と話している。

 南クリル地区のゴミレフスキー市長は「私は、日本政府の立場が日本自体にとって正しく、必要なものとは考えていない。彼らは独立した国際政策を追求していない。私にとって、岸田首相の声明は何も新しいことはない。同じ念仏を唱え、過去に生きているようだ。このような声明は日本人とクリル諸島のビジネスマンの間のパートナーシップに不協和音をもたらす」と述べている。

 択捉島を管轄するクリル地区のロコトフ市長は「私たちは島を日本に返したくないが、日本人には島に戻ってきてもらいたいと考えている。それは観光客として、あるいはビジネスパートナーとして。さらには文化・教育交流の立場で」という。ロコトフ市長によると、現在島々の主権はロシア憲法に明記され、領土の割譲はあり得ない。「困難な90年代でさえも、択後島には飛行場が建設された。これはどういうことかというと、ロシア当局がその領土に関心を持っていることを表している。今日では、サハリンとの間に2隻の新しいフェリーが就航し、択捉島には2つの立派な学校の建設が進み、プールや映画館も、そして光ケーブルも延びている。これらすべては、島が私たちのものであることを示している」と強調した。そして、クリル諸島は「日々、発展している」と、彼は付け加えた。

 ゴミレフスキー市長によると、島に投資しているのは連邦や自治体だけではない。島で事業を展開する企業は莫大な投資をしている。船団のリニューアル、世界市場で需要がある新しい製品の生産など、企業はまじめに投資している。クリリスキー・ルイバク社、オストロブノイ水産加工場、南クリル・リボコンビナート社などがクリルの開発、発展に弾みをつけている。「経済は政治的な声明によって拘束されない。発展を続けていく」と彼は言った。

 日本政府は第二次世界大戦終結以来、ロシア領である国後島色丹島、択後島、歯舞群島に対する返還要求を続けている。岸田首相は領土問題が解決するまで、ロシアとの平和条約の調印は不可能だと述べた。ロ日首脳会談について、東京とモスクワの間で交渉が進行中である。(kurilnews.ru 2021/10/19)

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※ロコトフ市長(左)とゴミレフスキー市長