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道東の赤潮、ロシア由来か 北大チームが分析

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 道東の太平洋沿岸を中心に広がった赤潮は20日、道が釧路市の桂恋漁港で確認してから1カ月となる。赤潮が原因とみられる新たな漁業被害は減りつつあるものの、赤潮は今も収まっていない。北大の研究チームは、赤潮を発生させたプランクトンがロシア海域から流れ着いた可能性が高まっていると指摘する。(北海道新聞2021/10/20)

 北大水産学部の飯田高大(たかひろ)助教(衛星海洋学)と同大大学院水産科学研究院の芳村毅准教授(海洋化学)らでつくる研究チームは、宇宙航空研究開発機構JAXA)の観測衛星「しきさい」の画像から海中の植物プランクトン量を分析。9月4日には北方領土択捉島の南方沖で赤潮が発生し、親潮に乗って10月上旬にかけて道東沿岸に流れ込んでいることを確認した。

 この赤潮の原因プランクトンは特定されていないが、研究チームが7、8日に釧路管内厚岸町の沖合10~15キロで赤潮の表面海水を採取して調べたところ、塩分濃度などからロシア海域由来の海水だと分かった。道東の赤潮の原因プランクトンの一つ「カレニア・セリフォルミス」が昨年秋、ロシア極東カムチャツカ半島の南部海域でも赤潮を発生させたことから、飯田助教は「何らかの理由でロシア海域から道東まで流れてきた可能性はある」とみる。

 セリフォルミスによる赤潮は国内初確認で、20度ほどの暖かい海を好む「カレニア・ミキモトイ」などと比べると冷たい海域を好むとされるものの、生態は謎が多く、収束の時期は見通せていない。ただ、海外では海水温が9度まで下がると急速に増殖速度が落ちるとの研究結果もある。冬型の気圧配置に伴う北西風により、数週間以内には赤潮自体が沖合に押し出されると予想する専門家もいる。

 道によると、赤潮が原因とみられる漁業被害(8日現在)は釧路、日高、十勝、根室の4管内で計46億円に達した。被害額の大半を占めるウニは、ほぼ全滅して4、5年は漁獲を見込めない海域が多い。釧路を除く3管内はウニ被害を調査中としており、被害額が膨らむ可能性もある。(堀田昭一)

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