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元島民の体験、ラジオ番組に 千島連盟オホーツク支部とFMあばしりが協力 14日から放送「証言通じ領土への関心高めて」

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 北方領土の元島民らでつくる千島歯舞諸島居住者連盟オホーツク支部が、コミュニティー放送局FMあばしり(網走)の協力で、元島民の体験をラジオ番組として放送する取り組みを昨年に続き進めている。高齢化に伴い人数の減少が続く元島民の体験を音声として残し、新型コロナウイルス下でも多くの人に聞いてもらう狙い。今年は10月14日から放送が始まる。(北海道新聞オホーツク版2021/9/29)

 「家に入ってきたロシア兵の中には、角砂糖やミルク湯をくれる人もいた」「日本ではなくシベリアに連れて行かれるのではと不安だった」―。9月21日、択捉島出身で北見市在住の佐藤徳一さん(82)が同FMのパーソナリティー2人に択捉での生活、追われた際の体験を語っていた。2人はスマートフォンで録音しながら質問を重ね、取材は1時間以上に及んだ。

 取り組みは昨年始まった。新型コロナの影響で元島民らによる「語り部活動」が制限される中でも北方領土問題を風化させないため、同FMに番組制作をお願いした。

 パーソナリティーオホーツク管内在住の元島民を訪れて故郷への思いなどを聞き、声を10分間の番組「四島(しま)の思い出」としてまとめている。昨年は5人を取材し、11月~今年3月に毎月1回ずつ番組を流した。

 今年は10組11人の話から10本の番組を作る予定。10月から毎月第2、4木曜日の午前9時に放送する。編集を担当する後藤まあやさん(24)は「『島は豊かだった』と言う人が多いのが印象的。思いをくみ取り、(聞き手に)伝わりやすくすることを大切にしています」と語る。

 千島歯舞諸島居住者連盟(札幌)の集計によると、元島民の平均年齢は3月末現在で86.0歳。人数は1945年(昭和20年)8月の終戦時と比べ3分の1以下となり、オホーツク支部も56人にまで減った。父が歯舞群島志発島、母が色丹島出身で、同支部事務局長の大崎紀子さん(70)は「貴重な証言に触れ、北方領土への関心を高めてほしい」と期待を込める。(古市優伍)

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