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2007年のロシア人漁師、納沙布岬上陸事件 「ちょっとビール買いに」 旅券不携帯で逮捕、不起訴処分で退去強制 2010年にロシアで有罪判決

 ウニ漁ロシア人「ビール買いたい」ゴムボートで上陸 入管難民法違反で逮捕 納沙布岬

(北海道新聞2007/4/8日)

 根室署は7日、北方領土水晶島沖でウニ漁中にビールを買うため根室市納沙布岬に上陸したロシア人漁船員を、入管難民法違反(旅券不携帯)の現行犯で逮捕した。

 北方領土と北海道の中間ライン付近では昨年8月に根室の漁船が、ロシア国境警備隊に銃撃・拿捕(だほ)されて以来、監視が強化されており、地元住民は不法上陸に驚いている。

 逮捕されたのは、ロシア漁船●●●(11トン)の一等航海士●●●●容疑者(29)=サハリン州ユジノサハリンスク市=。

 同署などによると、同船は、水晶島貝殻島の中間付近で操業。●●●●容疑者は、潜水してウニを採る同僚3人を船外機付きゴムボートで漁場に運び、収容する役だった。

 3人が採取中、1人で間近に見える納沙布岬に向かい、舟揚場に上陸。午前10時45分ごろ、近くの土産物店で、缶ビール1箱(350ミリリットル24本入り、8,400百円)を日本円で購入。帰ろうと舟揚場に戻ったところを、岬に向かう不審なゴムボートを見たという漁業者からの通報で駆けつけた根室署員に、旅券を持っていないとして逮捕された。

 調べに対し、●●●●容疑者は「買い物に来た」と話しているという。

 対応した土産物店の従業員は「根室ではロシア人が珍しくなく、態度にも変なところがなかったので、不審に思わなかった。こんなことは今まで聞いたことがない」と話している。

 上陸当時、根室海保の巡視船が同岬の太平洋側で警戒していたが、ゴムボートには気が付かなかった。ロシア漁船は同日午後には水晶島付近から見えなくなった。

 

ロシア人漁師による密入国に関する質問主意書への答弁から

(衆議院2007/10/23)

 2007年(平成19年)4月7日にロシア連邦国民が北海道根室市納沙布岬付近において有効な旅券等を所持することなく上陸を試み、北海道警察釧路方面根室警察署警察官により、出入国管理及び難民認定法違反(旅券不携帯)で現行犯逮捕された。

 同法違反(旅券不携帯及び不法上陸)の事実について、取調べが行われたが、同人は、同月18日、釧路地方検察庁検察官の指揮により釈放されるとともに、同日、札幌入国管理局にその身柄が引き渡され、同月20日、同局により、退去強制された。

 同月20日釧路地方検察庁検察官が、出入国管理及び難民認定法違反(旅券不携帯及び不法上陸)の事実につき、不起訴処分とした。

 

「ビール欲しくて…」根室に上陸した漁師に有罪判決

(産経新聞2010/01/24)

 北方四島国後島の裁判所は24日までに、ビールを買いに日ロ中間線を越えて北海道根室市に上陸した不法越境の罪でロシア人の漁師の男(32)に懲役1年、執行猶予6月の有罪判決を言い渡した。ロシア極東サハリン州の検察当局が明らかにした。

 判決などによると、男は2007年4月に歯舞群島水晶島付近でウニ漁をしていたが、アルコールが欲しくなり約7キロ離れた根室市にゴム船で上陸。24本のビールを商店で購入し、船に戻る際に北海道警に逮捕された。日本で服役し、ロシアへ強制送還された後、ロシアでも起訴されていた。(共同)

※記事中、「日本で服役」とあるが、不起訴処分・退去強制となっており、その事実はない

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根室市納沙布岬沖でウニ漁を行うロシア漁船。後ろの島は水晶島 (2019年1月撮影)