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根室の「陸揚庫」調査 専門家会議が保存、活用へシンポ開催

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 根室市が設置した北方領土問題に関する専門家会議は31日、終戦直後まで根室国後島を結んだ海底ケーブルの中継施設「陸揚庫」の現地調査を行った。専門家会議の「陸揚庫の保存と活用を考える分科会」の4委員が、保存や活用に向けて建物の状態を確認した。委員たちは、ケーブルを通していたとみられる約15センチ四方の開口部や、しっくいが塗られた内装、陸揚庫を波から守るための擁壁などを1時間かけて調査。劣化の進み具合や建設年代を調べるため、写真に収めたり、手で触れたりした。(北海道新聞釧路根室版2021/8/1)

 陸揚庫は市内西浜町の海岸にある鉄筋コンクリート造の建物で、1935年(昭和10年)ごろの建築とみられる。陸揚庫については国の文化審議会が7月、登録有形文化財にすべきだと文部科学相に答申した。

 分科会委員で国交省国土技術総合研究所シニアフェローの長谷川直司氏は調査後「場所が海岸に近いため塩害や凍害を受けており、非常に厳しい状態。まずは劣化を止めて回復する必要がある」と話した。

 その後のシンポジウムには分科会委員の札大教授の川上淳氏、北海道博物館学芸員の右代啓視氏、根室市史編さん委員の桐澤国男氏、長谷川氏が登壇。陸揚庫の保存と活用に向けた課題として「当時と同じ素材ではなく、強度や耐久性を備えたコンクリートを使うべきだ」「見学者が多い時期は、案内役を兼ねた管理人を配置するのがよい」などの意見が出た。(武藤里美)

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