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ロシア首相、択捉訪問へ 四島経済活動で新提案か

 

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 ロシアのプーチン大統領がミシュスチン首相にクリール諸島(北方領土と千島列島)視察を指示したことを受け、北方四島を事実上管轄するサハリン州政府関係者は24日、同氏が26~27日に同州を訪れ「択捉島に入る予定だ」と明らかにした。プーチン氏は協議が滞る四島での日ロ共同経済活動に関して視察後に提案をまとめるよう命じており、対ロ関係に関心が薄いとされる菅義偉首相の対応を見極める狙いもありそうだ。(北海道新聞2021/7/25)

 択捉島のロシア人島民によると、島内では警備が強化されているほか、関係者に新型コロナウイルス検査を実施するなど要人訪問に向けた準備が進んでいる。

 大統領に次ぐ地位にある首相の北方領土入りが実現すれば、2019年8月にメドベージェフ前首相が択捉島を訪問して以来2年ぶり。プーチン政権与党の「統一ロシア」は9月に下院選を控えており、首相のクリール訪問は、島の開発を進める姿勢を国内向けにアピールする思惑が透ける。

 一方の日本政府は、ロシア政府要人の四島訪問は「わが国の立場に相いれない」として認めていない。日ロ交渉筋によると、ミシュスチン氏の北方領土への訪問計画が浮上した数日前の段階で、既に外交ルートを通じて訪問しないよう申し入れたという。

 ただ、プーチン氏はミシュスチン氏に四島視察を指示した23日の安全保障会議で、北方四島での共同経済活動に関連して「(ミシュスチン氏が)非常にいい提案を持っている。ユニークで前例がない。現場の状況を把握した上で提案をまとめ、必ず実現すると期待している」と発言。日本との共同経済活動を視察の口実に使うことで、菅政権がどう反応するかを探っているとの見方が出ている。

 共同経済活動を巡っては、16年12月に日ロ首脳が検討開始に合意したが、事業実施に必要となる日ロ双方の立場を害さない特別な法的枠組みなどに関する協議が難航。昨年からはコロナ禍で、対面での交渉自体が途絶えている。

 首相官邸筋はプーチン氏の発言について「日本との共同経済活動を前に進めようとしているようにも受け取れる」と話す。ただ、ロシア首相が四島訪問を強行すれば、与党内などから日本政府に厳しい対応を求める声が出そうだ。(ユジノサハリンスク 仁科裕章、東京報道 古田夏也)

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