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根室の遺産「陸揚庫」文化財へ 文化審議会が指定答申 北方領土とのケーブル施設

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 終戦まで根室北方領土国後島を結んでいた電話用海底ケーブルの中継施設「陸揚(りくあげ)庫」について、国の文化審議会登録有形文化財に指定するよう月内に文部科学相に答申することが2日、分かった。関係者によると、北方領土に関する建造物が国の文化財に登録されるのは初めて。(北海道新聞2021/7/3)

 陸揚庫は幅3・8メートル、奥行き5・9メートル、高さ3・7メートルの鉄筋コンクリート製の建造物で、根室市西側の浜辺に立つ。旧逓信省が1900年(明治33年)に国後島南端のケラムイとの間に38キロにわたって海底ケーブルを敷設した。旧ソ連が45年(昭和20年)に国後島を占領し、ケーブルを切断した。

 陸揚庫は戦後、民間に払い下げられたが、国後島元島民2世らが20年以上前から保存を訴えていた。根室市は2013年、日本人が北方領土に住んでいたことを示す歴史遺産として施設と土地を買い取り、保存してきた。陸揚庫の完成時期は不明だが、ケーブル敷設と同じ1900年なら、日本最古の鉄筋コンクリート建造物の可能性もあるという。

 文化庁は昨年8月、調査官を派遣し、建物の構造などを調べた。文化審議会の答申から数カ月で文化財に正式登録される見通しだ。同庁によると現在、建造物の登録有形文化財は全国で約1万3千件、道内には151件ある。(黒田理、武藤里美)

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