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国後島南部の根室海峡でシャチの調査を実施 REROPの科学者ら4人

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FEROP(極東ロシア・オルカプロジェクト)の研究者たちが5月2日から6月8日まで、国後島南部の根室海峡でシャチやクジラの調査を行った。FEROPは1999年に佐藤晴子氏ら日本、英国、ロシアの3人の研究者が設立。20年以上続くロシアで唯一の長期的なシャチ研究プロジェクトだ。シャチの寿命は人間と同様60~90年で、行動特性や社会的つながりを研究するには時間をかけて研究する必要がある。今年は4人の研究者が国後島に来た。現地調査は1カ月間続いたが、悪天候のため海上で調査が出来たのは10日だけ。国後島南部のオホーツク海側にあるダニロフスキー・コードンを拠点に根室海峡で調査した。帯同したクリル自然保護区のエレナ・リニック副所長はシャチのほかハクジラヒゲクジラ、ミンククジラ、ナガスクジラ(8~10頭)を確認したという。クジラ研究ではカムチャツカ半島やコマンドルスキー諸島と比べて、クリル諸島は研究されていない地域とみなされている。

シャチの研究は1970年代にカナダで始まった。太平洋の北部には魚をエサとするシャチと肉食性のシャチの2つの個体群がある。プロジェクトの研究者は南クリル諸島のシャチの個体数と分布を調査し、極東の他の地域のシャチと比較するというミッションを掲げた。南クリル諸島のデータが圧倒的に不足して、カムチャツカ半島や北クリルのシャチと異なるなる個体群かどうかはまだ不明だ。今後、遺伝子サンプルや録音された音の分析から明らかになるだろう。シャチの家族はずっと一緒だ。自分たちの地域にたくさんのエサがあると、連絡を取り合いグループを形成する可能性が高くなる。シャチは大きな群れで動くことができる。家族が解散したり、複数のグルーブが集まったりすると、シャチは活発に音を交換し始める。シャチは家母長制で、家族の長は最も年上で経験豊富な女性(祖母)であり、その経験を若い個体に伝えている。REROP研究チームは滞在中、郷土博物館で高校生を対象に「極東ロシアのシャチ研究」と題し講演も行うなど、教育活動にも取り組んでいる。(サハリン・インフォ2021/6/11)

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