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北方領土の歴史学ぶ 羅臼で公開講座 遺跡調査の報告も

 羅臼町教委と北海道博物館は、北方四島の歴史や文化について学ぶ公開講座を町内で開いた。千島歯舞諸島居住者連盟(千島連盟)関係者など町内の10人が参加し、北方四島に関する資料や現地で行われている調査などについて理解を深めた。(北海道新聞2021/3/1)

 2月21日に開催。前半は戦前の国後島に教員として赴任し、戦後に初代羅臼村長となった故村田吾一氏について、町教委の天方博章学芸員が講演。村田氏が国後島で集めた縄文~アイヌ文化期までの524点の考古資料や、現在は消滅した遺跡の記録、昭和初期の四島などの植生を伝える植物標本などを示し、「どの資料をとっても一級品。今後、展示を通して活用を図っていきたい」と話した。

 同博物館の右代啓視学芸員は、2006年から行っている北方領土の現地調査の成果を紹介。調査によって120カ所近く確認されている遺跡について、写真を交えて解説した。確認された遺跡の一部はロシアによる開発や観光地化で破壊が進んでいることも指摘し「考古、歴史資料の評価を確立してロシアの研究者とも共有し、保存と継承を図ることが重要だ」と強調した。

 参加した同連盟羅臼支部の鈴木日出男支部長は「江戸時代以前の北方領土の歴史は私たちでもなかなか知り得ない。歴史を学ぶことで日本の領土だと改めて感じられ、よかった」と話した。(小野田伝次郎)

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