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サケマス漁獲量減少 千島列島沖などの調査研究強化 ロシア科学研究機関

 2020年11月、農業大臣パトルシェフが議長となり、太平洋サケマス操業の合同部門会議が開催され、目標プログラム”Лосось 2021”(ロソスィ=サケマス2021)が採択された。(ロシア漁業ニュースヘッドライン2021/1/29)

 この取り組みは複合的なもので、状況監視、調査、分析、来遊予測、そして結果評価等のすべてが含まれている。ロシア科学研究機関は、調査、研究を強化し、国際プログラムへの参加等を通じ、新たな情報を求めることとなっている。

 2020年、サケマスの漁獲量の減少は、ロシア沿岸だけでなく、アラスカ湾でも確認されており、2015年-2019年と比較してアラスカ湾では平均37%減少、ブリストル湾を除くベニサケ、南東部のカラフトマスは1976年以来最低となった。

 北太平洋の西部と東部の太平洋サケマス漁獲量の同時減少は、北太平洋全体の資源形成に影響を与える共通の要因の存在を示唆しており、広範な海域の調査、まだ不明な部分も多い生態の研究の継続強化が必要となっている。

 今初夏、ロシア科学研究機関は追加的に西部ベーリング海の調査を行うこととした。また、カラフトマスの移動時期、オホーツク海クリル列島沿岸沖合の調査を複数回行い、クリル列島横断の際の生態系の損失を追跡することとした。

 さらに、科学研究機関は、ベーリング海の秋季の幼魚調査の範囲を拡大、シベリア最東部チュコトカ自治区のアナディリ湾と外洋の把握の必要性を指摘している。

加えて10月には日本海の調査、晩秋から初冬にオホーツク海南部とクリル列島沿岸沖合の生物学的情報を収集、稚魚の海洋への移動を把握することが計画されている。

 来年2022年には、ロシア、米国、カナダの参加により、冬季の北太平洋への国際共同調査が計画されているほか、直近では今年2月19日、ユジノサハリンスクの全ロシア海洋漁業研究所ヴニロ・サハリン支部サフニロを拠点に、通信を利用して、太平洋サケマスの国際会議の開催が予定されており、ロシア、カナダ、米国、日本、そして韓国からの著名な国際的専門家や科学者が参加して、”北太平洋における太平洋サケマスの資源動向・増殖”をテーマに話し合いが行われることとなっている。

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