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パラムシル島のエレナは2頭のハスキー犬と旅をする

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 エレナ・コテンコは北クリルのパラムシル島に住んで2年になる。彼女は、2頭のハスキー犬と一緒に、噴火を続けているエべコ火山に登り、ボートで海を旅し、その様子をインスタグラムで紹介している。なぜ、エレナが都会暮らしを捨てて、野生と自然の領域にやって来たのか--。(サハリン・クリル通信2021/1/28)

 エレナはカムチャツカ地方のエリゾヴォの町で生まれた。2012年に、公共団体「青少年ボランティア活動」に参加し、観光部門を担当した。「私たちは毎年夏に、コマンドル諸島に出かけたが、2016年はパラムシル島に行くことになった」と回想する。火山の島への旅行で、彼女は将来の夫、マークに出会った。2017年に結婚。マークはクリル諸島に永住することを提案した。

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 「2018年3月7日、私たちはパラムシル島のセベロクリリスクに引っ越した。この日のことは忘れたことがない。私たち2人はヘリコプターでパラムシル島に飛行していた。ほかに乗客はおらず、カムチャツカ上空はミルクを撒いたような雲に覆われていた。オゼルナヤで給油した時、天候を心配したパイロットはそこに留まりたい様子だった。でも、私たちはセベロクリリスクに飛ぶことにした」--彼女は当時を振り返った。急に吹雪になり、ヘリコプターは破壊されたふ頭の跡に緊急着陸して、2時間半、天候の回復を待った。「その後、離陸したが、マヤック山付近を飛行中に再びひどい吹雪になり、ヘリコプターは風邪の力で海に押し込まれているような感覚に襲われた。眼下に海が近づいていたが、マークは『心配いらないよ』と言った。『そこはたいして深くないから』」…。

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 クリル諸島での暮らしは、家族の愛だけでなく、犬と一緒に暮らす夢もかなえてくれた。カムチャツカでは朝から晩まで仕事をしなければならず、犬を飼うことは不可能だった。パラムシル島では、山や森、火山へのハイキング仲間が必要だったのて、ハスキー犬のアヤを飼うことにした。そして、もう1頭が家族に加わることになる。「昨年4月、インスタグラムで1頭の犬の写真を見つけた。1年半の間、飼い主を探してペトロパブロフスクをさまよっているハスキー犬だった。私は夫に、引き取りたいと提案した。そして、彼、アイスをパラムシル島に連れてきた」

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 エレナはパラムシル島での暮らし、ハイキングやちょっとした旅行が信じられないほどの豊かな感情を与えてくれることに気づいた。「私たちはエベコ火山に10回登った。母はカムチャツカ火山・地震研究所で火山学者として働いていたから。エレナはユリエフカに行くのが好きだった。泳ぐことが出来る暖かい硫黄の川だ。冬になると夫婦はスノーモビルで島を旅する。「都会暮らしが恋しくないかって? ここの暮らしで寂しく感じる唯一のことは映画館がないことくらい」とエレナは言った。パラムシル島に引っ越してから、エレナはすべての友達を呼び、パラムシル島を案内した。彼らは全員感激してこの島をアイルランドに匹敵すると驚嘆した。名前もないエメラルドブルーの湖が特別な印象を与える。彼女は、その湖を訪れるようすべての観光客にアドバイスするだろう。

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